攻略 | オトモアグリ

魚のふんが、微生物を経て植物の養分になる流れ。

魚と微生物と植物をつなぐのは窒素です。餌のたんぱく質を魚が消化すると、使われなかった窒素はえらから溶けて出るぶんと、糞や食べ残しに残るぶんに分かれます(餌からアンモニアへ)。固形物に残ったぶんは従属栄養の微生物が分解してから遅れてアンモニアになるので(アンモニア化)、固形物をいつ取り除くかで水の数字が動く時期が変わります。

アンモニアはそのままでは魚にも植物にも毒です。どの段も担うのは目に見えない微生物で、魚や人がじかに変えているわけではありません。ここから硝化という二段の酸化が始まり、まずアンモニア酸化細菌が亜硝酸に変え(アンモニアから亜硝酸へ)、続けて別の菌が硝酸に変えます(亜硝酸から硝酸へ)。どちらも硬い面に張りついた生物膜の中で進む反応で、酸素が無ければ止まります。New Agrarian の解説動画は、浮き床の水耕なら育てる面1m²につき1日30〜50gの餌を魚が食べられるだけの窒素が要ると、量の目安を示しています。新芽の色が薄く育ちが細いなら窒素が足りないしるしで、葉が濃い緑で下向きに巻くなら多すぎるしるしだと同チャンネルは説明します。どちらも魚を増やす前に、まず餌の量と硝化の進み具合を確かめる手がかりになります。

硝化はもう一つ、水素イオンを出し続けます(硝化が出す酸)。これを受け止めるのがアルカリ度(KH)で、尽きるとpHが落ち、硝化菌自身の働きも鈍ります。硝化菌が嫌う条件として、補水する水道水に残る残留塩素と、濁りとなって従属栄養細菌に場所と酸素を奪われる浮遊物(TSS)も覚えておきます。

硝酸ができても、それだけでは植物の栄養は足りません。植物の必須栄養素は17元素あり、硝酸でまかなえるのは窒素だけだとアクアポニックス大学は説明します。残りは、魚の排泄物に含まれるミネラルを水に溶け出させる働き(ミネラリゼーション)によってまかなわれ、硝化とは別の仕組みで進みます。固形の排泄物を従属栄養の微生物が分解し、窒素以外のミネラルも水に溶かして初めて、植物は植物が吸う窒素だけでなく育つための養分をそろえられます。メディアベッドでは培地の中でこの二つが同時に進みますが、DWCやNFTでは別にミネラリゼーション用の槽を置くのが一般的だと同チャンネルは述べています。

メディアベッド
トロ舟
メディアベッド写真: Penguinponics / CC BY 4.0
培地
ハイドロボール
培地写真: Lucis / CC BY-SA 3.0

硝酸は植物が吸うほかにも出口があります。酸素の無い場所では別の菌が硝酸を気体に変えて空気へ抜き(脱窒)、残りは魚の体や収穫、掃除で抜く汚泥に分かれて系から出ます(系から出ていく窒素)。株を増やしても硝酸だけが伸び続けるなら、この出口のどこかが細っている合図です。

出典

  1. 動画・英語 New Agrarian Nitrogen in Aquaponics Explained: Guide to the Nitrogen Cycle & System Health
  2. 動画 アクアポニックス大学 アクアポニックスでなぜ野菜が育つのか。ミネラリゼーションの仕組みについて