酵母
酵母は、パン・ビール・ワイン・日本酒のすべてで働く単細胞の菌類です。


菌の特徴
Saccharomyces cerevisiae が代表の単細胞の菌類で、カビでも細菌でもありません。この種はパン作りで生地をふくらませ、香りの成分を作る重要な役割を果たします(Han ら・2026年の研究)。パン・ビール・ワインなど、いくつもの発酵食品・飲料で働く菌です。同じ発酵でも、乳酸菌は乳酸を、酵母はアルコールと二酸化炭素を作ります。
働き
酵母は糖を分解して、エネルギーと生きるための分子を得ます。酸素があるときは、酸素を使って二酸化炭素と水を作る経路も使えます。パンでは、二酸化炭素の泡が生地のグルテンの網に閉じ込められ、生地をふくらませます。少量のアルコールは焼成中に飛び、パンはお酒になりません。ワインでは、糖が減るにつれてアルコールが増え、二酸化炭素は通気口から抜けます。
好む環境
華氏105〜115度(約41〜46℃)のぬるま湯がパン酵母の適温とされ、涼しいところではゆっくり働き、熱すぎると死にます(Iowa State University の解説)。パン生地は、まず酸素を使わないアルコール発酵から働き始めることが多く(TED-Ed)、華氏75度(約24℃)より暖かい所で発酵させるのがよいとされます。
関わる食品
パン、ビール、ワインなどに使われます。ワインの発酵はブドウに付いた野生の酵母から始まることが多いものの、結果をそろえるため、アルコールに強い株を選んで加えるのが一般的です(TED-Ed の動画)。市販のパン酵母6株を遺伝子と代謝物で比べると、同じ製造元の製品でも遺伝的に違う株でした(Han ら・2026)。
解説動画
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の解説動画
【高校生物】第15講「アルコール発酵」
アルコール発酵とは
発酵=微生物が酸素を用いずに有機物を分解してATPを得る働き。そのうち酵母(真核生物)が行うのがアルコール発酵で、乳酸発酵・酪酸発酵と並ぶ代表例として位置づけられる。高校生物の講義形式で、反応を順に追っている。
反応の流れ
まずグルコース → 2分子のピルビン酸(解糖系)。ここで脱水素酵素が働いてNAD⁺がNADHになり、ATPが2分子できる。この部分は呼吸でも乳酸発酵でも共通。次に酵母はピルビン酸 → アセトアルデヒドに変える。ここで脱炭酸酵素が働き、二酸化炭素が発生する—— パンがふくらむのも、ビールが泡立つのもこれ。
最後にエタノールになる理由
アセトアルデヒド → エタノール。還元型補酵素(NADH)が水素を渡すことでこの変化が起きる。酵母がわざわざエタノールを作っているのは、NAD⁺を再生するため—— ここで水素を手放しておかないとNAD⁺が戻らず、解糖系が回らなくなる。つまりアルコールは目的ではなく、代謝を回し続けるための副産物という説明になっている。
出典
- 論文・英語 Han NR, Lim N, Byun JA, Yun EJ, Cheong YE, Song S, Shim S, Kim KH(2026) Metabolomic differentiation of industrial baker's yeasts reveals yeast product formulation-associated metabolic and flavor signatures during dough fermentation and bread baking
- 公的機関・英語 Marlene Geiger(Iowa State University Extension and Outreach AnswerLine)(2021) Yeast Bread Baking – A Kitchen Science 'Drama'
- 動画・英語 TED-Ed The beneficial bacteria that make delicious food - Erez Garty
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