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物・位置・色を先に言う練習。

絵を読むとき、最初に浮かぶのは「これは何を意味しているのか」という問いになりやすい。けれど意味を言う前に、画面に実際に見えているものだけを言葉にする段階を挟むと、見落としに気づきやすくなる。ロンドンのナショナル・ギャラリーでベリーニの絵を題材にしたSmarthistoryの動画は、注文主や背景の動物に込めた意味といった話をあえて脇に置き、大きさ・構図・奥行き・形・線・色・光・明暗・質感・パターンという「見えるものだけ」を順に拾う方法を見せる。この順番を真似ると、知識が無くても言葉にできる手がかりが増える。

最初に言うのは、物とその位置だ。画面に描かれている物(モチーフ)を1つずつ名指しし、上下左右のどこにあるか、手前にあるか奥にあるかを言う。奥にある物ほど輪郭がぼやけて色が薄くなる空気遠近法の効きや、手前と奥で物の大きさが変わる遠近法の効き方を見ておくと、「奥にある」と言うときの根拠がはっきりする。写真では、ピントの合っている範囲(被写界深度)と画面に入れた範囲(画角・アスペクト比)が、同じく物と位置を言うときの手がかりになる。

モチーフ
モチーフ写真: Paul Cézanne / Public domain
空気遠近法
空気遠近法写真: Valerius Tygart / CC BY-SA 3.0
遠近法
遠近法写真: Basile Morin / CC BY-SA 4.0
被写界深度
被写界深度写真: Photo by User:Utudanuki / CC BY-SA 3.0
画角
画角写真: Patche99z / Public domain
アスペクト比
アスペクト比写真: Aspect__ratio.PNG: — Swpbτ • c. Original uploader was Swpb at en.wikipedia derivative work: Vladsinger (talk) / CC BY-SA 3.0

次に色を言葉にする。色の種類(色相)と、明るさ(明度)・鮮やかさ(彩度)は別の軸で、混ぜて考えると言葉にしづらくなる。漫画家の丸山京介は、光の当たり方で生まれる明暗と、物そのものが持つ色の濃さを混同しやすいと説明し、別々に観察するよう勧めている。写真や絵の色の雰囲気を言うときは、暖かい・冷たいと感じる色温度の傾向や、画面全体の明暗の幅をまとめたトーンも手がかりになる。

色相
色相写真: 8-leaf clover / CC BY-SA 4.0
明度
明度写真: ColorValue.jpg: Mahlum derivative work: McSush (talk) / CC BY-SA 3.0
彩度
彩度写真: tsiaojian_lee / Public domain
色温度
色温度写真: Thelightguy1 / CC BY-SA 4.0
トーン
トーン写真: Jacobolus / CC BY-SA 3.0

この「見えるものだけを言う」段階を先に踏んでから、何を意味するかを考える。イランの医科大学で、1年生の医学生89人を、美術の画像を見て言葉にする訓練をした群44人と、見るだけの群45人に分けて比べた研究がある。結果は、訓練をした群のほうが、見つけた点の数も使った言葉の数も、はっきり多かった。ただし1か月後に実際の診療の場面で測ると、この差は消えた。

出典

  1. 動画・英語 Smarthistory How to do visual (formal) analysis in art history
  2. 論文・英語 Ghorbani N, Alizadeh M, Sayarifard A, Khajavi A, Yenawine P(2025) The Eagle Eyes: an Intervention Utilizing Visual Thinking Strategies to Enhance the Observation Skills of Medical Students
  3. 動画 KYOSUKE MARUYAMA【漫画家】 【最速最短で画力爆上がり!】デッサンをわざわざやらなくても、得られる基礎知識が全部わかっちゃう動画