攻略 | オトモクリエイティブ

どこから光が来て、影がどこに落ちるかを見る。

絵でも写真でも、光に気づく最初の一歩は、光源を1つ見つけることになる。画面を見てすぐ細部を追わず、まず目を細めて明るい側と暗い側の2つに分ける。Prokoは、目を細めると細部が消えて明暗が大きな塊にまとまり、明るさの関係が見やすくなると説明している。光は空気の中をほぼ直進するので、物が落とす影の向きをたどれば、光源がどちらにあるかを逆算できる。光源が画面の外にあっても、影の向きだけで位置は言える。

次に、影を2種類に分ける。絵の描き方を教えるMarco Bucciは、光が遮られてできる落ち影と、面が光から背を向けてできる陰を区別する。落ち影は遮った物の形をそのまま写すので、鼻の影は顔の上に鼻の形で落ちる。陰は面の向きで決まるので、同じ球でも光の向きが変われば暗くなる場所が動く。シャドウを暗く沈んだ余りではなく形の手がかりとして見ると、画面の読み方が変わる。

シャドウ
シャドウ写真: Jill Diefenbach / CC BY-SA 4.0

見えた明暗は、まず3段に整理する。Bucciは、光の側を2段、影の側を1段にまとめる進め方を示す。光の側の2段は、光に正面から向いた面の平均の明るさと、光に向きながら背を向け始めた面の中間調に分かれる。いちばん大事な仕事は、光の側と影の側の明るさを離して保つこと。中間調は、影に近い明るさではなく光の側に近い明るさを取る、というサージェントの助言をBucciは紹介している。サージェントが影を明るい側へ寄せた繊細な画面も挙げ、コントラストが低くても明暗は成り立つと話す。テート美術館は、明暗の釣り合いと配置を指すイタリア語がキアロスクーロで、強い対比が目立つ作品でとくに語られると説明している。

コントラスト
コントラスト写真: Duschan 1944 Nutzungsberechtigter Erbe derivative work: MagentaGreen / CC BY-SA 4.0

明るさは、1か所だけでは測れない。Prokoは、同じ明るさの四角でも周りの明暗で違って見えることを見せ、目に見える明るさは、物そのものの明るさと当たっている光の条件を合わせたものだと説明する。影の中の白い面と、光の中の黒い面が同じ明るさになることもある。英国の大学のチームは、この見え方で知られるアデルソンのチェッカーブロックという図形を使い、123人に部分を取り除いた版を見せて答えを比べた。2026年の報告では、上下を正しく置いて左上から照らした版で、物の色の違いとして答える人がいちばん多かった。描く側がここでつまずくと、白い物を白く塗る失敗が起きる。Prokoは、白目を文字どおり白く塗ると恐ろしい顔になると例を挙げる。防ぐ手は、画面のいちばん暗い所といちばん明るい所を先に決め、ほかの明るさを必ずそこと比べること。ハイライトは数か所に絞ると、そこだけが輝いて見える。

ハイライト
ハイライト写真: Davi.trip / CC BY-SA 4.0

写真では、光の向きを自分で選べる。背中側から当てる順光は色を素直に出し、向こう側に光源を置く逆光は輪郭だけを光らせ、真横からのサイド光は凹凸を立てる。室内なら窓の光が、機材を足さずに方向のある大きな光になる。曇りや日陰では拡散光になり、影の縁がぼけて明暗の差が小さくなる。ただし、目に見えている明暗の幅は1枚に入りきらない。入る幅がダイナミックレンジで、空を残すか人の顔を残すかは撮る前に決めておく。露出の仕組みは、スタンフォード大学の授業資料が、記録される光の量はレンズの開口の大きさと光を当てる時間で決まり、ISO感度はそれを増幅する度合いだと説明している。1段の動きで光は倍か半分になり、開口を広げればピントの合う範囲が浅くなり、時間を延ばせばぶれ、感度を上げればざらつく。資料は、ぶれとピントの許す限り、白飛びさせない範囲で時間を長く取り、足りない分だけ感度を上げる順を勧めている。

順光
順光写真: Judgefloro / Public domain
逆光
逆光写真: Lukeroberts / CC BY 2.5
サイド光
サイド光写真: Giovanni Baglione / Public domain
窓の光
窓の光写真: Kuroda Seiki / Public domain
拡散光
拡散光写真: Friedrich Haag / CC BY-SA 4.0
ダイナミックレンジ
ダイナミックレンジ写真: Vipulvaibhav5 / CC BY-SA 4.0
露出
露出写真: W.carter / CC0

初めての人がつまずく所は3つある。1つ目は、影を真っ黒に塗ること。Prokoは、狭い範囲だけを見続けると影の中の明るい部分を実際より明るく置いてしまい、影が影に見えなくなると注意する。2つ目は、画面から離れずに見ること。一歩下がる、絵を上下逆さにする、鏡に映すなど、見方を変えて全体の明暗を確かめる。3つ目は、1枚の中で光の向きがそろわないこと。人の目は、上から来る光を前提にして陰影を読む。5〜11歳の子どもに陰影のついた図形の凹凸を答えさせた2020年の研究は、陰影に反応するようになった時点でこの前提と左寄りの偏りが現れ、向きは年齢とともに変わらなかったと報告している。下から当てた光が不自然に見えるのは、読み方の前提から外れるためと見ると分かりやすい。

光源を1つ決め、影を2種類に分け、明暗を3段に整理する。この順番は、美術館で1枚を読むときにも、自分で描くときにも、撮るときにも同じように使える。

出典

  1. 動画・英語 Marco Bucci Light and Shadow - 10 Minutes To Better Painting - Episode 6
  2. 動画・英語 Proko Train Your Eyes to See Values
  3. 公的機関・英語 Tate Chiaroscuro
  4. 資料・英語 Marc Levoy(スタンフォード大学 CS 178) Variables that affect exposure
  5. 論文・英語 Lovell PG, Scott-Brown KC, Smart IE(2026) Understanding the image cues driving the switch from brightness to lightness responses in the Adelson checker-block illusion
  6. 論文・英語 Pickard-Jones B, d'Avossa G, Sapir A(2020) 3D shape-from-shading relies on a light source prior that does not change with age