ヨウシュヤマゴボウ

秋冬に見る草

触れたときの扱い: 樹液・毛・汁に注意(触れたら洗う) / 見ごろ: 秋(9〜11月)

赤い太い茎に、黒紫の実が房で垂れます。人の背丈を超えることもある大きさで、空き地やフェンスの足元でひときわ目立ちます。

ここだけ見る(決め手)

三つそろえば決まります。一つ目は秋に赤く染まる太い茎、二つ目は房になって垂れ下がる黒紫の実、三つ目は人の背丈を超えることもある高さです。実は直径7mmほどの平たい球で、縦に浅い筋が入って見えます。花の時期には白から淡紅色の穂が上を向いて立ち、実が太るにつれて重みで垂れ下がります。YList の標準和名は Phytolacca americana、別名はアメリカヤマゴボウです。

いつ、どこに出るか

実が黒く熟すのは8月から10月で、垂れた房は秋の終わりまで残ります。生える場所は空き地、造成地、駐車場の隅、フェンスや電柱の足元で、鳥が実を運ぶため、街では止まり木の下に唐突に現れます。国立環境研究所の侵入生物データベースは北アメリカ原産、1870年頃の導入としています。冬は地上部が枯れ、赤みの残る太い枯れ茎が立ったまま年を越します。

よく似た草との違い

名前の混同が最初の壁です。「山ごぼう」の名で売られる漬物の材料はキク科のモリアザミなどの根で、この草とは別の植物です。近縁のヤマゴボウは実が上を向いてつき、垂れ下がりません。同じ空き地に立つ大型の草にはオオブタクサやセイタカアワダチソウがありますが、赤い茎と黒紫の房の組み合わせを持つのはこの草だけです。

触れたらどうなるか

最初に困るのは実をつぶしたときの赤紫の汁です。手や爪、白い服につくと洗っても色がなかなか落ちません。国立環境研究所の侵入生物データベースは、根に有毒物質が蓄積するとしています。汁が残った手で口や目に触れないことが要点で、触れたら早めに水と石けんで洗います。ヨウシュヤマゴボウの誤食は子どもが実へ手を伸ばす場面の話で、摘まないことが一番手前の対策になります。

増え方

運び手は鳥です。実を食べた鳥がフンとともに種子を落とし、電線の下やフェンスの上など止まり木の真下に並んで芽生えます。地下には年々太る大きな根ができ、地上部が枯れても翌年また同じ場所から立ち上がります。種子は硬い皮に包まれて土の中で待つため、草を抜いたあとの裸地から次の年に一斉に出ることも起こります。ナガミヒナゲシのような風任せではなく、鳥の行動が分布を決めます。