ヨモギ

秋冬に見る草

触れたときの扱い: 樹液・毛・汁に注意(触れたら洗う) / 見ごろ: 秋(9〜11月)

葉を裏返すと白い綿毛が見えます。ちぎると強い香りが立つので、道端でも河川敷でも同じ二手で確かめられる草です。花は8月から10月に咲きますが、緑色で目立ちません。

ここだけ見る(決め手)

葉を1枚裏返すのが最短の手順です。表は濃い緑ですが、裏は白い綿毛にびっしり覆われて灰白色に見え、指でこすると毛が綿のように寄ります。葉は羽状に深く切れ込み、先が数枚に分かれます。もう一つの手がかりは香りで、縁を少しちぎると独特の匂いが立ちます。YList の標準和名は Artemisia indica var. maximowiczii で、Artemisia princeps はその synonym として扱われます。

いつ、どこに出るか

地上部は春に立ち上がり、8月から10月に茎の上部へ緑色の小さな頭花を穂状につけます。虫を呼ぶ花びらを持たない風媒花で、環境省「花粉症環境保健マニュアル」は秋の草本花粉の代表としてオオブタクサやカナムグラと並べています。冬は茎が枯れますが、根元に切れ込みの浅い葉がロゼットで残り、雪の下でも緑のまま越します。土手、空き地、線路際の日当たりが定位置です。

よく似た草との違い

混同されやすいのはオオブタクサとブタクサで、どちらも葉が羽状に切れ込みます。分かれ目は葉の裏で、この二つは裏も緑のままで白い面を持ちません。ブタクサは葉がさらに細かく裂け、草丈も低めです。ハハコグサは株全体が白い綿毛をかぶりますが、葉は細いへら形で切れ込みがなく、春に黄色い花をつける点で離れます。

触れたらどうなるか

問題になるのは葉と茎を折ったときに出る汁と、秋の花粉です。キク科の植物はセスキテルペンラクトンを含むものが多く、汁に繰り返し触れた手でアレルギー性接触皮膚炎が起きることがあります。ちぎったあとは水と石けんで洗い、その手で目をこすらないのが要点です。花粉は肌ではなく鼻と目の側の話で、刈られた直後の株に顔を近づけないのが現実的な距離の取り方になります。

増え方

広がり方は二本立てです。地下茎が横に伸びて次の芽を上げ、刈られても株が消えないのは主にこちらの働きです。土手で同じ緑が帯状に続くのはこのためで、別の株に見えている緑が、地下でつながった一つの個体ということが起こります。もう一方は種子で、風媒花らしい小さく軽い痩果を風に乗せ、裸地へ早く入ります。スギナと同じで、地上を刈るだけでは数が減りません。