イヌタデ

秋冬に見る草

触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 秋(9〜11月)

赤い米粒のような花が、穂に密に並びます。茎の節を筒のように包む托葉鞘まで見れば、タデの仲間だと確かめられます。

ここだけ見る(決め手)

花穂と節の二か所を見ます。花は紅色の米粒のような形のまま並び、開いても目立たず、穂は長さ1〜5cmほどで先が少し垂れます。節には茎を筒のように包む托葉鞘がつき、これが托葉の変わった形です。イヌタデではその筒の縁に長い毛が並ぶことが、属の中での目印になります。YList の標準和名は Persicaria longiseta、別名はアカノマンマです。

いつ、どこに出るか

花が見られるのは8月から11月で、秋の道端ではもっとも数の多い赤になります。生えるのはやや湿った日当たりで、田の畦、畑の縁、水路沿い、公園の踏み固められていない土などです。一年草なので冬に株ごと枯れますが、赤褐色になった穂は年を越して立ち、雪や霜の上に色を残します。春に芽生え、夏は緑のまま伸び、秋になって一気に花穂を上げる順番です。

よく似た草との違い

大きさで迷うのはオオイヌタデで、草丈が1mを超え、穂が太く垂れ、托葉鞘の縁に毛がほとんどありません。ハナタデは花がまばらで葉の中ほどに黒い斑が出やすく、日陰寄りに立ちます。ボントクタデは水辺に多く、穂が細くて花の間隔が空き、葉に黒斑が入ります。節の筒の毛の長さと、葉の斑の有無という二点で分けられます。

触れたらどうなるか

葉にも茎にも花穂にも、触れて起きる刺激は特に知られていません。汁で肌が染まることもなく、とげや刺毛も持たない草です。むしろ気をつけるのは立っている場所のほうで、畦や水路のふちにしゃがむときは、足元のアメリカオニアザミやワルナスビのとげに手が触れます。土に触れた手は水で流してから顔に触れる順にしておくと、後始末が短く済みます。

増え方

一年で完結する草なので、翌年の姿は種子だけに懸かります。花のあと三角形の小さな痩果ができ、穂が揺れるたび、雨に打たれるたびに株のまわりへこぼれます。数が多いため、同じ場所に毎年ひとかたまりで戻るという現れ方をします。遠くへ動く経路は二つで、泥に混じって靴や車輪につく道と、水路の流れに乗る道です。畦では代かきの水が種子を運びます。