おうし座

冬の星座

見え方: 肉眼で見える

おうし座は、ヒアデス星団のV字が顔、そこから東へ伸びる2本の星の列が角にあたります。

形のたどりかた

横向きのV字が、牛の顔です。V字を作るのはヒアデス星団で、開いた側を東へ向け、5度を超える広がりで横たわります。V字の2つの先から東へさらに延ばすと、1.7等のエルナトと3.0等のζ星という2本の角の先に届きます。すばるは顔ではなく、V字の北西にある肩の位置で、V字から約12度離れた別の星団です。1つの牛として結ぶと、顔と肩が離れて見えるのはこのためです。

目じるしになる星

V字の先で赤く光る0.9等のアルデバランです。V字の一員に見えますが、アルデバランは約65光年、ヒアデス星団は約150光年と距離が倍以上違い、たまたま同じ方向へ重なっている手前の星です。V字をたどるときは、この1つだけ色が違うことを手がかりにすると外れません。同じ視野でほかの星と見くらべると、赤みの差は肉眼でも分かります。

見ごろの時期と南中高度

1月下旬の20時ごろに南中し、11月から3月の宵に南の空を通ります。アルデバランの赤緯はプラス16.5度で、東京(北緯およそ35.7度)の南中高度は約71度、札幌でも約63度と高い位置です。高く昇るあいだは大気の影響が小さく、すばるの粒を数えるならこの時間帯です。昇りはじめの低い空では、数えられる数が2つ3つ減ります。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

明るい星だけなら、市街地でもV字と角はたどれます。0.9等から3等台の星で組まれた形で、赤緯プラス16.5度と合わせて日本全国から見えます。試されるのはすばるのほうで、肉眼で数えられる数が、そのまま空の暗さの物差しになります。街では4つか5つ、暗い空では6つから7つ、条件がそろえば10個を超えます(肉眼の限界等級)。

星座の中の見どころ

プレアデス星団とヒアデス星団が、対照的な見え方をします。すばるは1度ほどにまとまるので双眼鏡の視野の中央に収まり、青白い粒が数十個へ増えます。ヒアデスは5度を超えて広がるため、実視界の狭い双眼鏡では全体が入りません。角の先のかに星雲は8.4等で、暗い空でも淡いしみまでしか見えず、写真の色や筋とは別物です。

名前と物語

由来

ギリシャ神話では、フェニキアの王女エウローペーにゼウスが化けた白い牡牛と伝わります。浜辺で戯れる牝牛に化けたゼウスは、彼女を背に乗せたまま海を渡ってクレタ島まで運び、のちに彼女はこの島の王妃になったとされます。星座の姿が体の前半分しかないのは、泳いで海を渡る姿をそのまま星にしたためだという話が伝わっています。

和名と人が使ってきたこと

すばるは、日本の暦や漁でも使われてきた星の集まりです。数えられる星の数を六連星と呼び、見える数を豊漁の目安にした漁村や、南中する時刻で夜の長さを測った地方が伝わっています。おうし座本体よりも、肩にあたるこの星団のほうが、暮らしの中ではずっと身近な存在でした。見える数を数える習わしは、星座の形をたどるより先に、暮らしの中へ根づいていました。

正体と距離

アルデバランは、1972年に打ち上げられた探査機パイオニア10号が向かっている先でもあります。地球からの距離はおよそ65光年ですが、探査機の速さでは200万年以上かかる計算で、人間の時間の感覚とは桁違いの遠さです。オレンジ色の巨星で、すでに中心の水素を使い果たした晩年の星でもあります。

変わるもの

ヒアデス星団は、太陽から見てオリオン座の方向へ向かってじわじわと遠ざかりながら動く星の集まりです。何百もの星が同じ方向へ同じ速さで動く様子から、天文学者はその収束点を計算して星団までの距離を求める手がかりにしてきました。何万年も先には、V字の形は今とはまったく違うものになっています。