こいぬ座

冬の星座

見え方: 肉眼で見える

こいぬ座は犬の形にならず、肉眼で見えるのはプロキオンとゴメイサの2つの星だけです。

形のたどりかた

たどる形が、ほとんどありません。0.4等のプロキオンと、その北西約4度にある2.9等のゴメイサ、この2つで終わりです。残る星は4等より暗く、2つを結んだ短い線から先へは、街でも郊外でもつながりません。犬の姿を思い描くより、明るい2星の間隔をそのまま覚えるほうが実用的です。置き場所はオリオン座の東、天の川をはさんだ側になります。

目じるしになる星

プロキオンは、冬の大三角の東の角です。ベテルギウスとおおいぬ座のシリウスを結び、その東側でほぼ正三角形を閉じる位置に光ります。0.4等はシリウスより1.8等ぶん暗く、届く光の量にすると5分の1ほどです。それでも街の空に残る明るさがあり、先にシリウスとベテルギウスを押さえてから東へ目を送ると迷いません。

見ごろの時期と南中高度

3月中旬の20時ごろに南中し、1月から4月の宵に南の高い空を通ります。プロキオンの赤緯はプラス5.2度で、東京(北緯およそ35.7度)の南中高度は約60度、札幌でも約52度あります。シリウスより22度も北にあるぶん高く昇り、低空の揺らぎを受けにくい位置です。大三角の3つの角のうち、いちばん遅れて南中する角でもあります。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

0.4等は、市街地の空でも消えません。赤緯がプラス5.2度なので日本全国で高く昇り、南東から昇って南西へ沈むまで、半日近く空にあります。落ちるのはもう一方で、2.9等のゴメイサは街明かりの下では見つけにくく、3等星が見えるかどうかが分かれ目になります(肉眼の限界等級)。2つとも見えなければ、この星座には何も残りません。

星座の中の見どころ

双眼鏡を向けても、増えるものがありません。この星座にはメシエ番号の付いた星団も星雲もなく、10等より明るい星団や銀河も1つもないため、視野に入るのは天の川の縁の星ばかりです。プロキオンには白色矮星の伴星がありますが、11等・離角5秒角で本星の光に埋もれ、双眼鏡では分かれません。双眼鏡を持ったなら、東隣のプレセペ星団まで足を延ばすほうが実りがあります。

名前と物語

由来

先に触れたおおいぬ座の猟犬ライラプスと対になる話で、この星座は決して捕まらない運命を持つテウメッソスの狐と伝わります。ボイオティア地方を荒らしていたこの狐を、追う側も追われる側も運命を裏切れない矛盾にゼウスが決着をつけ、狐を石に変えて天へ上げたとされます。追いかけっこの結末が、2つの星座として並んで空に残ったという話が伝わっています。

正体と距離

目じるしのプロキオンは約11.5光年と、太陽系のすぐ近くにある星です。おおいぬ座のシリウスと同じく、白色矮星の伴星プロキオンBを連れており、およそ41年の周期で回り合っています。伴星は太陽のおよそ6割の質量を持ちながら小さく暗いため、双眼鏡はおろか、大きな望遠鏡でも主星の光に隠れて見つけにくい相手です。

変わるもの

目じるしのプロキオンは、実はすでに主系列星の段階を終えつつある準巨星です。中心の水素を使い果たしはじめており、これから数億年のうちに膨らんで赤色巨星に変わり、やがて外層を失って、伴星と同じ白色矮星になると考えられています。いまの白い輝きは、この星の一生の中でも後半に差しかかった、限られた時期の姿にすぎません。