うさぎ座

冬の星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

うさぎ座は、オリオン座のリゲルの真南にうずくまる、2.6等前後の星でできた星座です。

形のたどりかた

オリオン座のリゲルから真南へ、こぶし一つ半ほど下がったところに、四つの星がつくる横長の四角形があります。これがうさぎの胴で、西寄りの二辺を2.6等のα星アルネブと2.8等のβ星ニハルが受け持ちます。四角の北西の角から北へ、3等から4等の小さな星が二列だけ伸びていて、これが伏せた耳にあたります。胴の四角を先に決め、耳は空が暗いときにだけ足す順でたどると、形が途中で崩れません。差し渡しはこぶし一つ半ほどです。

目じるしになる星

2.58等のα星アルネブと2.81等のβ星ニハルが、この星座でいちばん明るい二つです。理科年表の見かけの等級ではどちらも2等台の後半で、すぐ北にオリオンの1等星が並んでいるぶん、明るさの差がそのまま目立たなさになります。色はアルネブが淡い黄白、ニハルは黄色みを帯びた白で、同じ視野に入れて並べると差が分かります。耳をつくる三つの星は3等から4等台で、ここまで数えられるかが空の暗さの目安です。

見ごろの時期と南中高度

2月上旬の20時ごろに南中し、オリオン座が真南へ来たときのちょうど足元にあたります。α星の赤緯はマイナス17度台なので、東京(北緯35.7度)での南中高度は36度ほどと計算できます。同じ形は12月の宵から3月の宵まで追えますが、南中を過ぎると急に低くなり、地上の灯りに沈みます。国立天文台「ほしぞら情報」が毎月出す宵の南天の図が、そのまま探す範囲になります。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

オリオンが見えていても、この星座は形にならないことがあります。胴の四つ星は2.6等から3.6等で、光害のある市街地では四角の南側の二星から先に消えます。環境省が続けてきた星空観察でいう夜空の明るさの階級でいえば、郊外の空なら四角までは追え、都心では耳の星まで届きません。緯度による制約は小さく、北海道からでも南中高度は30度近くあるので、見え方を決めているのは空の暗さのほうです。

星座の中の見どころ

球状星団M79が、四角の南西に7.7等・視直径9分角で見えます。双眼鏡では星に分かれない小さなしみどまりですが、銀河系の外から取り込まれた集団だという説が出ている天体です。もう一つはR星で、ハインドの深紅星と呼ばれる炭素星です。およそ430日の周期で5等台から11等台まで動くため、極大の前後だけ深い赤が目で分かります。すぐ隣のうさぎ座ガンマ星は、広く離れた明るい二重星です。

名前と物語

由来

巨人狩人オリオン座の足もとにうずくまる獲物と伝わります。狩りを好んだオリオンにとって、うさぎは身近な獲物の代表だったとされ、猟犬のおおいぬ座やこいぬ座に追われる立場として、オリオンのすぐ南に置かれたという話が伝わっています。星座としての知名度は低く、詳しい物語が語られることは多くありません。

正体と距離

深紅色で知られるR星の正体は、炭素星と呼ばれる晩年の巨星です。膨張した外層に炭素の多い物質が漂い、青い光を吸収してしまうため、届く光が赤色に偏ります。理科の教科書に出るような単純な赤ではなく、太陽系から約1500光年先の老いた星が、化学組成の偏りだけで見せる特別な色あいです。同じ星座のほかの星には、これほど濃い色を持つものはありません。

変わるもの

炭素星は、赤色巨星がたどる進化のかなり進んだ段階です。外層のガスをさらに吹き飛ばし続ければ、やがて中心の核だけが残る白色矮星に近づいていくと考えられています。うさぎ座のR星がまとう深紅の色そのものが、この星がすでに一生の終盤に差しかかっていることを示すしるしで、何百万年という時間の果てに待つ姿を先取りして見せています。