エリダヌス座

冬の星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

エリダヌス座は、リゲルの西から星をつないでいくと、南の地平線へ着いてしまう星座です。

形のたどりかた

出発点はオリオン座のリゲルのすぐ西にある、2.8等のβ星クルサです。ここから西へ星を拾い、大きく三度折れる曲がり角を数えながら南へ下ります。一度目は西へ振れるところ、二度目は南へ向き直るところ、三度目は東へ戻ってからまた南西へ長く伸びるところで、つなぐのは3等から4等の星ばかりです。途中で列を見失いやすいので、折れ目ごとに星図帳で位置を確かめながら進みます。面積は1137平方度で、全天で六番目に広い星座です。

目じるしになる星

河口にあたるα星アケルナルは0.45等で、この星座で唯一の1等星です。ただし日本の大半の場所では地平線の下にあり、実際に目じるしになるのは3.7等のε星と2.9等のθ星アカマルのほうです。前者はおよそ10光年先という太陽に近い恒星として知られます。オリオン座のリゲルとクルサの間隔を物差しにし、同じ幅ずつ西へ送っていくと、暗い星の列でも見失いにくくなります。

見ごろの時期と南中高度

1月中旬の20時ごろに星座の中心が南中し、冬の宵の南天いっぱいに広がります。東京での南中高度は北端のクルサで49度ほど、θ星まで下ると14度ほどで、同じ星座の中に35度近い差がつきます。低い側は宵のうちしか高さを稼げず、夜半を過ぎると南西へ傾いていきます。星座早見盤で南中の時刻を当ててから、高い側から低い側へ順にたどるのが現実的な追い方です。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

どこまでさかのぼれるかを決めるのは、観測地の緯度です。α星アケルナルの赤緯はマイナス57度台なので、理論上の北限は北緯32度台となり、九州中部より北からは地平線の下に入ります。南九州や南西諸島でようやく南の低空にかかりますが、大気減光で0.45等の輝きは大きく削られます。関東や東北からでもθ星までは追え、その先へ進むには緯度が足りない、という切られ方をします。

星座の中の見どころ

明るい見どころに乏しい星座だと、先に書いておきます。40番星は白色矮星を含む三重星として天文学では有名ですが、双眼鏡では主星の光に埋もれて伴星が分かれません。ε星はおよそ10.5光年と近く、肉眼で見える星の中では太陽系に近い部類に入ります。星団や星雲を探すより、川の列そのものを端までたどることを目標に置くほうが、この星座では収穫があります。

名前と物語

由来

太陽神の子パエトーンが、父の馬車を御しきれずに落ちた川と伝わります。ゼウスの雷に打たれて地上へ真っ逆さまに落ちたパエトーンを受け止めたのがこの川とされ、はくちょう座のキュクノスが亡骸を探して潜り続けたのも、この川だったという話が伝わっています。星座の姿は、大きく折れ曲がりながら南へ長く伸びる川そのものです。

正体と距離

河口のアケルナルは、知られている恒星の中でもとりわけ扁平な星です。自転があまりに速いため遠心力で形がつぶれ、赤道方向の半径が極方向より5割ほど大きいと見積もられています。距離は約139光年で、もし日本から見えていれば、形のゆがみまで話題になるような特異な星です。自転の遠心力だけで、ここまで姿が変わる星はそう多くありません。

変わるもの

肉眼から近いε星は、太陽よりもずっと若い星だと考えられています。周囲には塵でできた環がいくつも確認されており、惑星が生まれていく過程の、太陽系のごく初期に近い段階を保っているとみられています。長い時間をかけて、いまも周りの環境が生まれ変わり続けている星です。太陽系の生い立ちを知る手がかりとして、繰り返し観測の対象に選ばれてきました。