いっかくじゅう座

冬の星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

いっかくじゅう座は、冬の大三角の内側で、明るい星が無いことが目じるしになる星座です。

形のたどりかた

オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンで冬の大三角を先に描き、その内側を見ます。最も明るい星でも3.8等しかないため、目に入るのは星のまばらな暗い領域です。三角の中央からやや東で3.9等のα星と3.8等のβ星が緩い弧を作り、これが一角獣の胴にあたります。周りが明るいぶん、この空白そのものが位置の手がかりになります。

目じるしになる星

目じるしにできる星が無い、と書かざるを得ない星座です。β星が3.76等、α星が3.93等で、理科年表の等級でも4等に近い値にとどまります。星の名をたどる探し方は向かず、三角の三つの1等星から等しく離れた点を取るほうが早く着きます。天の川の中にあるため、双眼鏡を向けると視野が一気に星で埋まり、そこで初めてここに何かあると分かる、という順序になります。

見ごろの時期と南中高度

3月上旬の20時ごろに南中し、おおいぬ座のシリウスが真南へ来る時期と重なります。α星の赤緯はマイナス9度台で、東京での南中高度は45度ほどと計算できます。天頂寄りではないぶん双眼鏡を構えやすく、1月から3月の宵が追いやすい時期です。南中の前後を外すと天の川の濃い部分が低くなり、双眼鏡で星が増えるという手ごたえそのものが弱まります。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

肉眼では、空の暗さがそのまま結果を決めます。3.8等より明るい星がないため、光害のある空では星座として形になりません。6等星まで見える空なら胴の弧をたどれますが、市街地では大三角の内側がまったくの空白として残ります。緯度による制約はほとんどなく、日本のどこからでも高く上がります。結果を分けるのは緯度ではなく、夜空の明るさの側だということになります。

星座の中の見どころ

双眼鏡を向けると、散開星団が続けて現れます。M50は5.9等の粒の集まり、NGC2244は4.8等と明るく、NGC2264はクリスマスツリー星団の名で呼ばれる3.9等の並びです。一方、NGC2244を包むバラ星雲は長時間露光の写真でだけ赤く広がるもので、目にも双眼鏡にも形は出ません(星雲は写真のように赤く見える)。星団と星雲で見え方が分かれる場所です。

名前と物語

由来

神話に根拠を持たない、比較的新しい星座です。17世紀、オランダの地図製作者ペトルス・プランシウスが、冬の大三角の内側に星の少ない空白があることに目をつけ、一角獣にちなんでこの星座を設けたと伝わります。古代の星座のあいだに残っていた隙間を、想像上の生き物の名で埋めた例の一つです。形にまつわる古くからの言い伝えは、いまのところ特に残っていません。

正体と距離

この星座の天の川の中には、プラスケット星という、知られている中でもきわだって重い連星系が隠れています。太陽の数十倍という質量を持つ星どうしが、わずか14日ほどで互いを回り合っており、地球から約6600光年先にあります。見た目は6等台の点にすぎませんが、正体は恒星としては桁外れの重さを持つ組み合わせです。

変わるもの

これほど重い星は、寿命も短くなります。プラスケット星のような大質量の連星は、水素を使い果たすのも速く、いずれはどちらも超新星として爆発し、中性子星やブラックホールを残すと考えられています。太陽のような軽い星よりずっと短い、数百万年という時間で一生を終える星どうしの組です。星座の若さと星の短命さが、同じ場所に重なっています。