ぎょしゃ座

冬の星座

見え方: 肉眼で見える

ぎょしゃ座は、天頂近くまで昇る五角形の南の頂点を、隣のおうし座と分け合っています。

形のたどりかた

将棋の駒のような五角形をたどります。北の角にあるのが0.1等のカペラで、そこから東へβ星、南へθ星と下り、西側にはι星が並びます。南の頂点でおうし座と接し、この頂点のエルナトは、かつてぎょしゃ座のγ星として数えられていた星です。1930年に決まったIAUの星座境界でおうし座のβ星に整理されました。五角形の内側は暗い星ばかりで、中から探すと迷います。

目じるしになる星

0.1等のカペラが、冬の宵に天頂の近くで黄色みを帯びて光ります。42.9光年の距離にある連星で、赤緯がプラス46.0度と高いため、北緯44度より北、稚内あたりでは一年中沈みません。もう1つ、カペラの南にあるε星は約27年に一度、2年ほどかけて暗くなる食変光星です。3.0等から3.8等まで下がり、前回は2009年から2011年にかけて暗くなりました。

見ごろの時期と南中高度

2月中旬の20時ごろに南中し、11月から4月まで宵の空にあります。南中のころは東京(北緯およそ35.7度)で高度約80度、天頂のわずかに北を通ります。真上に近い星は見上げにくく、南中の前後は目より姿勢のほうが先に限界になります。この時期は日没後から真夜中過ぎまで空にあるので、無理のない高さの時間帯を選べます。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

カペラは、市街地の空でも高く目立ちます。赤緯プラス46度は日本のどこからでも高く昇る位置で、北へ行くほど条件がよくなる、数少ない冬の星座です。五角形の残りは1.9等から2.7等なので街でもたどれますが、内側を通る天の川と3つの星団は光害で消えます。五角形の中がざらついて見えるかが、星団を探しに行ける空かどうかの目安です。

星座の中の見どころ

五角形の内側に、散開星団M36・M37・M38が天の川に沿って約6度のあいだに並びます。見分けの手がかりは、双眼鏡で粒に分かれるかどうかです。6.3等のM36は星の数が少なくても1つ1つが明るく、低い倍率でも粒に割れます。6.2等のM37は星が密でも1つ1つが暗く、双眼鏡ではしみのままです。実視界が6度前後あれば、M36とM38は同じ視野に入ります。

名前と物語

由来

ギリシャ神話では、アテナイの王エリクトニオスと伝わります。鍛冶の神ヘパイストスの子として生まれ、足に障がいを持っていたため、みずから四頭立ての戦車を発明して乗りこなしたとされます。その功績を惜しんだ神々が天に上げ、星座になったという話が伝わっています。肩に乗る山羊は、幼いゼウスに乳を与えたとされる山羊アマルテイアで、カペラの名の由来とされます。

正体と距離

肩に光るカペラは1つの星に見えますが、実際には4つの星でできています。互いに近い2つの黄色い巨星が主星の組をなし、離れた場所にもう2つの赤色矮星が回っています。42.9光年先にあるこの組み合わせは、肉眼にも望遠鏡にも1つの光点にしか見えず、星の数と見た目がもっともかけ離れた1等星の1つです。

変わるもの

カペラを作る2つの黄色い巨星は、どちらも中心の水素を使い果たしたあとの姿です。太陽よりわずかに重いだけの星ですが、進化の速い段階に入っており、天文学的には短い時間のうちに外層を失って、白色矮星へと変わっていくと考えられています。いまの黄色い輝きは、星の一生の中でも限られた期間だけのものです。