とも座

冬の星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

とも座は、かつての巨船アルゴ座のうち、船尾にあたる部分を受け継いだ南の低い星座です。

形のたどりかた

この星座には、船として完結した並びがありません。もとは「アルゴ座」という巨大な星座で、18世紀にラカイユが船尾・帆・竜骨へ分けた区分が、国際天文学連合の定めた88星座にそのまま引き継がれています。位置はおおいぬ座M41のあるおおいぬ座から入り、シリウスの南東へこぶし二つぶん送ると、2.2等のζ星を頭にした散らばりに届きます。船の輪郭を探すと迷います。

目じるしになる星

2.25等のζ星ナオスがいちばん明るく、青白さが肉眼でも分かる高温の星です(星は写真のように色とりどりに見える)。次が2.7等のπ星、2.8等のρ星と続き、1等星が一つも無いぶん、隣で輝くシリウスに引きずられて印象が薄くなります。シリウスからζ星までの間隔を一辺にして南東へ三角を描くと、散開星団の並ぶ帯にちょうど乗ります。

見ごろの時期と南中高度

3月中旬の20時ごろに南中し、おおいぬ座のシリウスが西へ傾くころ、南の低空を横切っていきます。ζ星の赤緯はマイナス40度で、東京での南中高度は14度ほどしかありません。星団の集まるM46とM47のあたりでも39度ほどで、星座の南半分は地平線すれすれを通ります。2月から3月の宵に、南が開けた場所を選ぶことが、時期を選ぶことより効きます。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

結果を決めるのは、南の空がどこまで抜けているかです。高度が低いほど大気減光が効き、2.25等のζ星も3等台の見え方まで落ちます。緯度も効いて、ζ星の南中高度は札幌(北緯43度)で7度ほど、那覇で24度ほどと、同じ晩でも三倍以上の差がつきます。南に建物や山があれば、星団の帯ごと視界から消えます。海側の開けた場所かどうかで結果が変わります。

星座の中の見どころ

散開星団が密集していることが、この星座の中身です。M46とM47はおよそ1.5度しか離れておらず、倍率7倍の双眼鏡なら同じ視野に並びます。見え方は対照的で、4.4等のM47が明るい星の粒に分かれるのに対し、6.1等のM46は一つ一つが10等より暗く、しみのままで留まります。実視界が5度あれば、東のM93まで一続きに拾えます。

名前と物語

由来

こちらも、もとはアルゴ座の一部でした。アルゴ船は、職人アルゴスが女神アテーナーの助けを借りて建造した船と伝わり、船首には予言の力を持つ樫の板が組み込まれていたとされます。ドードーナの聖なる樫から切り出されたこの板が、航海中に何度も警告を発したという話が伝わっており、その船の後部にあたる部分が、このとも座として残っています。

正体と距離

もっとも明るいζ星ナオスは、肉眼で見える星の中でもとりわけ高温な部類に入ります。表面温度はおよそ4万度に達し、太陽の80万倍ちかい明るさで輝いていますが、約1100光年という遠さのために、見かけの明るさは2等台に落ち着いています。もし太陽と同じ距離にあったなら、夜空を丸ごと塗り替えるほどの輝きになります。

変わるもの

M46とM47は、同じ方向にたまたま重なって見えるだけで、実際の年齢も距離も別々です。星の重力でゆるくまとまった散開星団は、天の川銀河を公転するあいだに周囲からの重力のゆさぶりを受け続け、長い時間をかけて少しずつ星がばらけていくと考えられています。いま見えている密集した姿も、銀河の歴史のなかでは一時的なものです。