サイドレイズ

肩

器具: ダンベル / 難易度: 初級

サイドレイズは、肩幅を作る、三角筋中部のいちばん基本の種目

効く筋肉

三角筋中部 が主役で、腕を上げ始める局面では棘上筋、上げ切る手前では 僧帽筋 の上部も関与します。2020年の研究で、筋トレ経験のある男性13人が60%1RMで12回行ったところ、中部の活動(最大随意収縮に対する割合)はサイドレイズが30.3%で、ショルダープレス(27.9%)と並び、ベンチプレス(5%)とダンベルフライ(3.4%)より有意に高くなりました。

やり方

軽く膝を緩めて立ち、ダンベルを体の横に構えます。手の向きは小指も親指も上に向けない中立のまま、肘を軽く曲げて持ち上げるより肘を外へ運ぶ意識で、真横よりやや前の面へ挙げ、肩の高さ、床と平行になるところで止めます。下ろしに2〜3秒かけて15回を3セット。筋トレ系チャンネルのJeff Nippardは、フォームに慣れたら毎回下で一瞬止めてから挙げると反動が出にくくなると説明しています。

フォームの注意点

反動で振り上げたり肩をすくめたりすると僧帽筋の関与が増え、三角筋の中部への刺激が減ります。今古賀翔(トレーニング科学)は、腕を水平より高く挙げても負荷が僧帽筋に逃げると説明し、初心者は男性3〜5kg・女性1〜2kgから丁寧に始めるよう勧めています。小指を上に向ける回し方は、肩の腱への負担が積み重なるおそれがあると、海外の筋トレ系チャンネルのSean Nalewanyjが指摘しています。

バリエーション・代替種目

下ろした位置でも張力が残る ケーブルサイドレイズ を、可動域をそろえてダンベルと8週間比べた2025年の研究(筋トレ経験のある男女24人)では、外側の三角筋の厚みが3.3〜4.6%増え、著者は両者を同等に有効と結論しています。自宅では トレーニングチューブ を踏んで行うか、水を入れたペットボトルでも回数を増やせば代用できます。

出典

  1. 論文・英語 Campos YAC, Vianna JM, Guimarães MP, Oliveira JLD, Hernández-Mosqueira C, da Silva SF, Marchetti PH(2020) Different Shoulder Exercises Affect the Activation of Deltoid Portions in Resistance-Trained Individuals
  2. 論文・英語 Larsen S, Wolf M, Schoenfeld BJ, Sandberg NØ, Fredriksen AB, Kristiansen BS, van den Tillaar R, Swinton PA, Falch HN(2025) Dumbbell versus cable lateral raises for lateral deltoid hypertrophy: an experimental study
  3. 動画・英語 Jeff Nippard How To Build Capped Shoulders: Optimal Training Explained (Side Delts)
  4. 動画・英語 Sean Nalewanyj Stop Doing Lateral Raises Like This! (8 MISTAKES)
  5. 動画 今古賀翔【トレーニング科学】 三角筋中部を鍛えるサイドレイズのやり方【解説】

解説動画: サイドレイズを三角筋に効かせるフォームの工夫/VALX 山本義徳 筋トレ大学

普通のサイドレイズの弱点: 腕を下ろしたスタート位置では、三角筋にほとんど負荷がかかっていない。負荷が抜けているだけでなく、そこで勢いをつけて上まで振り上げてしまうため、本来なら上がらないはずの重量でも上がってしまうのが問題だと指摘する。この弱点を解消したのがインクラインサイドレイズだが、通常のサイドレイズでもやり方次第で改善できる。

振り上げないための二つの工夫: 一つはスタートをゆっくり動かすこと。実演では同じ重さでも、下からゆっくり動かすだけでいきなりきつくなっている。もう一つは下まで戻さず、少し離れた位置をボトムにする方法で、こうすると勢いをつけようがなく、動き出しから負荷がかかり続ける。

あえて高重量で行うSSC: 三角筋の中部は前部・後部と違って羽状筋で高重量に反応しやすいため、たまには高重量で振り上げるのも一つの方法だとしている。ただしその場合も下で負荷を抜きたくないので、スピーディーに上げて下ろし、下で切り返すSSC(ストレッチ・ショートニング・サイクル)を使う。一気に下りてきた重さの慣性が下で強い負荷になり、そこで切り返す。

僧帽筋に逃がさない: 腕が上がると肩甲骨も一緒に上がる肩甲上腕リズムは自然な動きで悪いことではないが、僧帽筋の働きが強すぎると三角筋の働きが抜けてしまう。鍵は肩が上に上がらないようにすること。トレーナーや友人に肩峰のあたりを上から押さえてもらい、そこを支点にして肘が上がっていく感覚で動かすと、僧帽筋が働きにくくなる。

解説動画(海外・英語): How To Build Capped Shoulders: Optimal Training Explained (Side Delts)/Jeff Nippard

なぜ単関節なのにこれほど重要なのか: 見た目を作るうえで、単関節種目の中では最も重要かもしれない種目だとしている。理由は2つ。三角筋中部が張り出すと肩幅が出て、相対的にウエストが細く見えるX字のシルエットになること。そして2013年の研究で、フリーウェイトのサイドレイズとケーブルサイドレイズは三角筋中部の活動が非常に高かった一方、ショルダープレスとベンチプレスはごくわずかだったこと。つまり重い複合種目をいくらやっても三角筋中部はほとんど育たないので、単独で狙う必要がある。

重量ではなく、回数とフォームで進める: テコが長い単関節種目なので10〜20回、場合によっては30回の高回数・軽重量で扱う。だいたい7〜14kgのダンベルを超えるとフォームが崩れ始めるので、重量を増やすことではなくフォームの精度・効いている感覚・パンプの深さを伸ばしていくのを進歩の指標にする。参考として、体重136kgのカイ・グリーンが9kgのダンベルで高回数のセットを組んでいる映像を挙げている。反動を減らすには座って行うのが有効だが、ベンチが邪魔なら立ったまま尻を締め続けて股関節を動かさないでもよい。

握りと軌道:真横ではなく肩甲骨面へ、肘から動かす: 人差し指をダンベルのヘッドに当て、小指を柄の中央寄りにして握ると、トップで内旋のモーメントが増えて中部が働きやすくなる。肩甲骨を寄せたまま、ダンベルを持ち上げるのではなく肘から外へ振り出す。軌道は真横ではなく前方15〜30度の肩甲骨面。前腕と上腕は力を抜いたまま、三角筋中部だけで動かす感覚を作る。作者のコツは「上げる」ではなく「外へ掃き出す」と考えること(上げようとすると僧帽筋がすくむ動きに変わる)。前半を過ぎたら小指を親指よりわずかに高くして内旋を足すと前部から中部へ寄せられるが、この内旋はインピンジメントのリスクを上げるという研究もあるので、使うなら肩甲骨を寄せ、肩甲骨面で行い、肘が肩の高さに来たところで止める。三角筋中部の繊維は色々な方向に走っているので、内旋・ニュートラル・外旋を混ぜて行うという助言(Greg Nuckols)も紹介している。

ケーブルとダンベルの違い、そして多い失敗: 作者の一番のお気に入りはエジプシャン・ケーブルサイドレイズ(脚のあいだにケーブルを通し、上げる方向と反対へ体を傾ける)。傾けるのは三角筋中部は可動域の終盤で重要になり、始めのほうは棘上筋の関与が大きいというデータに基づく。ケーブルは可動域を通して張力が一定なのに対し、ダンベルは円弧を描くのでトップで最大・ボトムでほぼゼロになる(ただし筋肥大にどう効くかは明確ではない)。最も多い失敗は重すぎることで、重くするほど他の筋肉が手伝ってしまう。次に多いのがフロントレイズになってしまうこと。肩甲骨面は垂直から前へ15〜30度でしかないので、前へ振り出すと、ベンチプレスやオーバーヘッドプレスで十分に鍛えられている前部をさらに使うだけになる。