ショルダープレス
肩
軌道が決まっていて肩を押す動きを安全に覚えられる
効く筋肉
主働筋は 三角筋前部 と 三角筋中部 で、肘を伸ばし切る局面では 上腕三頭筋 も加わります。体幹を固める僧帽筋の上部も働き、軌道が固定される分、肩そのものに効かせやすい種目です。
やり方
シートの高さを調整し、グリップが肩の高さに来る位置に座ります。息を吸って背中をシートにつけ、肘を軽く前に出したまままっすぐ真上へ押し上げ、吐きながら伸ばします。下ろすのは耳の横まで。10回を3セットが目安です。
フォームの注意
腰を反らせてベンチプレスのように押すと、肩の前側と腰に負担が集中します。みぞおちを軽く締め、肋骨を閉じたまま行ってください。肘を真横に開き切るのも肩の詰まりの原因になるので、やや前方の面で動かします。
バリエーション・代替
ダンベルで行う ダンベルショルダープレス にすると左右差を出せます。自宅なら トレーニングチューブ を足で踏んで押し上げる形でも代用でき、負荷が軽くても15〜20回に増やせば十分効きます。
解説動画: ダンベルショルダープレスのフォーム|肩と腰を痛めないために/タロー・トレーニング強化書
位置づけと重量の伸ばし方: 基本的にはバーベルのオーバーヘッドプレスをすすめているが、バーベルがない環境ではダンベルショルダープレスで代用してよいという立場。ダンベル種目はバーベルほど重量を追いにくく、3回や5回の重さはラックアップが大変でフォームが乱れやすいため、10回3セットでできる重量を伸ばしていくイメージがよいとしている。
ダンベルの持ち方と手首の角度: ダンベルは手の根元、手首寄りにバーを乗せる。指に近いところで持つと不安定になる。手首は起こしすぎず少し寝かせた状態がよく、まっすぐを0度とすると70度くらいまでが目安。90度近くまで倒すと手首を痛める可能性がある。少し寝かせた手首の根元に乗せると、安定してプレス動作が行える。
ラックアップとスタートポジション: 両膝にダンベルを置き、足を振り上げる勢いで持ち上げる。手のひらを自分の体の方に向け、ダンベルを体に近づけたまま起こしてから、肘を開いてスタートへ移る。スタートポジションは上腕が床と平行、肘が90度、前腕が地面と垂直で、ダンベルは耳の横にくる。肘が曲がりすぎていたり伸びていたりすると、この位置が不安定になる。
押し上げ方: スタートで軽く息を吸って止め、その状態で頭上へ押し上げる。イメージは三角形で、少し内側に向かって押す。肘は完全に伸ばしきらず、軽く曲がっている程度でよい。まっすぐ上に上げようとするとダンベルが体から離れてしまい、落下の危険や肩・腰への無理な負担につながる。胸は張りすぎなくてよく、スタートポジションを作れば自然に軽く張れる。
痛みが出るときの原因と対策: 腰を反ってしまう人は肩の外旋可動域が不足しており、90度の外旋が作れないぶんを腰の反りで代償している。対策は胸の前と肩の後ろのストレッチで、柱に前腕と肘を当てて体重を前にかける、肘を掴んで前へ引くといった動きを20秒ずつトレーニング前に行う。肩が痛む場合は挙上時に前腕が倒れて脇が開きインピンジメントを起こしていることが多く、肘が痛む場合は肘を曲げすぎて上腕三頭筋を酷使している。
解説動画(海外・英語): Build Bigger Shoulders With Perfect Training Technique (The Overhead Press)/Jeff Nippard
この種目の弱点:三角筋前部に寄りやすい: オーバーヘッドプレスは肩関節の屈曲で三角筋前部が主役、加えて大胸筋の鎖骨部、肘の伸展で上腕三頭筋の3つの頭、背中から見ると肩甲骨の上方回旋で僧帽筋上部が働く。多関節のバーベル種目なので着実に重量を伸ばしていける(ただし他種目より伸びは遅いので気長に)し、肩関節の屈曲でほぼ180度という広い可動域を通せる。一方で弱点は前部に寄りすぎること。4種類のショルダープレスを比べた2013年の研究では、サイドデルトを狙うならバーベルよりダンベル、さらに座位より立位のほうが良かった。中部を大きくしたいならサイドレイズに加えてダンベルプレスも入れるとよい(ただしダンベルは下ろすとき頭が肩に当たって可動域が切れやすい)。
セットアップと肘の向き: 多関節で可動域も広いので5〜10回の中〜高重量帯で扱う。ラックの高さはスクワットと同じ脇の下あたり。握りは肩幅より少し広く、手が肩の外側に来る位置。肘をバーの下に入れ、膝と股関節を軽く曲げてから立ち上げて外す。2〜3歩下がって肩幅、つま先は15度ほど外。肘は肩よりわずかに外、45度くらいに向ける。真横に開きすぎると肩が痛くなり、肩の真正面だと力が出ない。サムレスグリップを使うなら横から見てバーが手首の真上に乗っていること(指側に落ちていると危険)。
押す軌道:真上に。肩をすくめない: 尻を締めて背骨をニュートラルに保ち、腹に息を入れて(ベルトがあればベルトを押し返すように)腹圧をかけたまま押す。バーは前でも後ろでもなく真上へ。横から見て一直線になるのが正解で、あごに当たらないよう押し始めに頭を少しだけ後ろへ引き、バーが顔を通過したら頭を前へ戻す。押している間、膝・股関節・肩甲骨は動かさない。よくある失敗が胸から押し出す瞬間に肩をすくめることで、短期的には楽になるが長期的にはボトムから押す力が育たず、最大重量が頭打ちになる。押し切った位置では、バー・肩・股関節・足の真ん中が一直線に並ぶ。下ろすときは肘を45度の方向へ落とし、真下には落とさない。胸で完全に止めて息を入れ直してから次の1回。
多い失敗3つ: 1つ目は可動域を勝手に狭めること。上でロックアウトせず、下で胸に触れないまま回数を稼ぐと、重量が伸びたのではなく可動域が縮んだだけになる。2つ目はタッチアンドゴー。下で止めずに跳ね返すと反動と伸張反射に頼るようになり、止まった状態から押し出す本当の力が育たない。3つ目は尻を締めていないこと。尻が緩むと股関節がバーより後ろに残り、安定を失って結局バーを前へ押してしまう。腰への負担も増え、軌道もフォームも毎回ばらつく。代替・追加としては座位/立位のダンベルショルダープレスが妥当で、座位は重い重量を扱え、立位は体幹とサイドデルトの関与が増える。ダンベルなら顔をよける必要がないので真上に押してよく、回数は8〜15回が好みだとしている。