場所法

結びつける

よく知る場所の順路に、覚えるものを置いていく

どんな技?

通勤路や自宅のように目をつぶっても順に歩ける場所を一つ決め、通る順に置き場所を10ほど選びます。覚えるものを1つずつその場所に置き、置いた光景を思い浮かべます。思い出すときは同じ順路をたどり、置いた場所から拾い上げることになります。向くのは順番のある一覧で、玄関から始めると決めたら毎回そこから始めます。置き場所は動かない物を選ぶと崩れません。

なぜ効くのか

新しい並びをそのまま抱えるのではなく、すでに覚えている順路に載せることになります。順路のほうは崩れにくいので、順番を覚える負担が小さくなり、手がかりが先に用意された状態で思い出せます。ばらばらの項目が場所ごとの塊に分かれる点はチャンクの働きに近く、順路をたどる作業には取り出す練習も入ります。土台が既知の場所である以上、その場所をよく知っていることが条件です。

やり方

まず順路を一本決め、10か所の置き場所を順番つきで覚えます。次に覚えるものを一つずつ置き、順路を2、3回たどって抜けを埋めます。置き場所を作る訓練そのものに数週間かかるので、試験の直前に始める技ではありません。同じ順路を使い回すと前の中身が混ざるため、用途ごとに別の順路を持ちます。混ざりの正体は記憶の干渉です。

はまりどころ

伸びると確かめられているのは単語の並びを思い出す課題で、内容の理解や応用が伸びる証拠ではありません。仕組みや理屈を覚える段では、なぜと問うのように意味へ踏み込む技のほうが向きます。順路を作る訓練に数週間かかるので、覚える量が少ない場面では手間が上回ります。有料の講座や教材が要る技ではなく、よく知る場所さえあれば始められます。

確かめられ方

Dresler らが2017年に報告した研究では、記憶術の経験がない参加者が6週間の訓練で単語の再生を大きく伸ばし、その差は4か月後も残っていました。測られたのは単語を思い出す課題で、伸びるまでに数週間の練習が要ったところも結果に含まれます。教材の理解や試験の成績まで同じように動くかどうかは、この研究では調べられていません。

解説動画(海外・英語): This Guy Can Teach You How to Memorize Anything/WIRED

宮殿という置き場: 動画は、よく知る家の空間を記憶の宮殿と呼び、そこへ像を置いていけば大量の中身をしまえると始めます。例に挙がるのは切った10組のトランプ、何百という無作為な語、詩の全文、円周率の最初の100桁。ただし数字の列をそのまま覚えるのは大半の人には無理だ、と先に断ります。

数字を像に変える: そこで数を決まった文字に割り当て、語に直してから像に変える符号を使うと説明します。4はr、1はtかdなので、41はrat(ねずみ)という具合。円周率は3桁ずつに区切り、区切りごとに一つの像を決めていきます。このチャンクの作り方で、100桁が33の像になったと言います。

歩く順に配る: 置き場所は家の外から始まります。前庭に一つ目を置き、玄関を入って居間のソファ、テーブルのそば、床、壁の高いところへ。そこから寝室、浴室、台所、廊下、裏庭と歩く順に像を配っていきます。像はどれも部屋の中の物に据えられていて、通る順序がそのまま並びの順序になります。

順に拾い上げる: 動画はそのまま実演に移ります。像を置いたのと同じ順で数字を口に出し、3.14…と100桁を途中で止まらずに並べていきます。言い終えると「やった、これで全部だ」と本人が確かめます。置いた道筋と言い出す順が重なっているところが、この技の符号化と想起の形になっています。

今は鈍っている: 言い終えたあと本人は、本当ならこの半分の時間で済んだはずだと自分に駄目を出します。かつては記憶の強者だったのに今は鈍った身だ、この出来は恥ずかしい、それでも誤りは無かった、と結びます。速さのほうは腕次第で動くこと、扱っているのが順番のある並びであることが見て取れます。