描いて覚える

結びつける

書き写す代わりに、覚えたい物を下手でも描く

どんな技?

覚えたい語を書き写す代わりに、その物を下手でも描くようにします。かける時間は数十秒で、丸と線だけの走り書きで足ります。上手さは関係がなく、仕上げに凝ると時間だけが増えていきます。描けるのは物を指す語なので、りんごや机のような具体語が向きます。単語カードの裏に小さく描き添える程度でも成り立ち、道具は紙とペンだけで済みます。描いた絵はあとで見返さなくてもかまいません。

なぜ効くのか

描くあいだには、語の意味を思い浮かべ、形を決めて手を動かす作業が続きます。別種の手がかりが一語に重なるぶん、あとで取り出す道が増えると説明されます。ただし報告した本人たちが深い処理やイメージでは説明しきれないと確かめており、原因は絞られていません。しまう作業と取り出す作業の関係は、符号化と想起という言葉で扱われます。

やり方

覚える語を選び、40秒前後で丸と線だけの絵を描きます。描き終えたら次の語に移り、同じ語を描き直さないで先へ進めます。あとで思い出す段では絵を隠し、思い出す練習のように語が言えるかを試します。抽象的な語では代わりに場面を描くなど置き換えが要るので、そこは確かめられた範囲の外として扱います。数語ずつ混ぜる使い方が現実的です。

はまりどころ

差が出たのは描ける具体語を数十秒で覚える課題で、抽象的な概念や長い文章でも同じとは言えません。凝った図を作り始めると時間が伸び、覚える語数が減るぶん割に合いません。教材に線を引いて色を塗る作業とは別物で、線を引く・色を塗るのほうは効き目が確かめられていません。ただ写す作業とも違うので、手で書き写すと取り違えないようにします。

確かめられ方

Wammes らが2016年に報告した7つの実験では、書き写した語より描いた語のほうが自由再生が良くなっていました。描く時間を削って語数を増やした条件でも、全員が描く条件にしても差は残り、材料は物を指す単語でした。ただし著者たち自身が原因を一つに絞れていないことを示しており、実技や長い文章での検証はこの範囲に入っていません。