なぜと問う
結びつける
事実を覚える前に「なぜそうなるのか」を自分に聞く
どんな技?
事実をそのまま覚えにかからず、「なぜそうなるのか」と自分に聞きます。「この制度は届出が要る」と読んだら、なぜ要るのかを自分の知っていることで答えます。声に出しても紙に書いてもかまいません。答えは一文でよく、思いつかない項目には印を付けます。それから本文に戻り、理由が書かれているかどうかを確かめます。問いは短いままで十分です。
なぜ効くのか
理由を作ろうとすると、すでに知っていることを引っ張り出して並べることになります。ばらばらの事実に理由が付くと、あとで手がかりが増えます。理由を思い出せれば、細かい文言を忘れても組み直せます。ただし引っ張り出す材料が無い分野では問いに答えられず、知識のある領域ほど効きが大きいと報告されています。効いているのは答えを作る手間の側です。
やり方
事実が並ぶ段落で止まり、1項目15秒ほどで「なぜ」に一文で答えます。答えたら本文か別の資料で当たりを取ります。全部にやると進まないので、1ページに2〜3か所に絞ります。まず知っている分野の学び直しで試すと答えが出ます。答えが出た項目は次から飛ばします。似た事実を並べて違いを見る側は具体例を2つ並べるです。
はまりどころ
前提の知識がない分野では、問いに答えられず効きません。問いを立てても答えを作らずに読み進めると、読み方は変わりません。自分で作った理由が合っているかを確かめないまま納得すると、わかった気だけが残ります。確かめられているのは単独の事実を覚える課題が中心で、長い文章の理解への効きは弱いほうです。組み直す側は自分の言葉で言い直すが担当です。
確かめられ方
Dunlosky ら 2013 の総説では、技どうしを比べた中で有用性が中程度に置かれています。Pressley ら 1988 以降の実験では、その領域の知識をすでに持っているほど効果が大きいと報告されています。Woloshyn ら 1990 は成人でも事実の段落で効果を見つけましたが、材料は長い文章の理解ではありません。
解説動画(海外・英語): Teach Better, Learn Better: Elaboration/Learning with Katie
覚え込む前に問う: 動画は、丸ごと覚え込むのをやめるところから始めます。学びながら「どのように」と「なぜ」を自分に問い、事実の裏側にある、どう働くのか・なぜそうなるのかを掘り下げるやり方です。そうすると新しい中身がすでに知っていることへつながり、分かりやすくなって残りやすくなると述べます。
別の言語と比べる: 例に挙がるのは語学です。文法の型をそのまま覚える代わりに、自分の知る言語とどこが違うのか、なぜこの言語は代名詞を使わないのかと自分に問いかけます。答えを出そうとするうちにつながりが見えてきて、学ぶ中身が自分に近いものになる。そのつながりが覚えを支えると説明されます。
規則の理由を聞く: 同じやり方は教える側にも使えると述べ、読みを教える場面が例に挙がります。文字と音の対応を教えたあと、同じ文字が別の音で読まれる語を学ぶ人に挙げさせ、なぜ一方はkの音で他方はsの音になるのかと問う。理由を考えるうちに規則の型のほうへ目が向き、決まりの分かり方が深くなると述べます。
暮らしへ寄せる: 机に向かうときは、前に学んだことと今の中身がどうつながるかを自分に聞くよう勧めます。似ている点と違う点をたどると頭の中に地図ができて、思い出すのも当てはめるのも楽になるという言い方です。新しい語なら日々の会話や自分の経験でどう使うかまで考えると、身に覚えのある場面と結びつくと述べます。
答えの当たりを取る: ただし自分で作った説明が合っているかは別に確かめます。教材に戻る、教える人に聞く、調べ直すという当たり方が三つ挙がります。締めは、いま学んでいる題材を一つ選んで「どのように」と「なぜ」の問いを立て、自分の言葉で言い直すこと。ほかに学んだこととのつながりを探し、つながりを増やすほど残りやすいと結びます。