空欄を自分で埋める
結びつける
答えを読む前に、思いつく答えを自分で作る
どんな技?
教科書の答えや用語の定義を紙や手で隠し、開く前に自分の言葉で埋めます。手で覆うのでも付箋を貼るのでもかまいません。合っていなくてもよく、当てにいくのではなく作ること自体が目的です。作れなかった項目には印を付け、答えを見たあとにもう一度自分で言い直します。専用の穴埋め教材は要らず、隠すものが手元にあれば足ります。
なぜ効くのか
差が出るのは、読んで済ませるか自分で作るかのところです。作るには手元の言葉を探すことになり、その手間の分だけ後で出やすくなります。自分の答えと本文がずれた箇所が、そのまま覚えるべき場所になります。この手間は望ましい困難の側にあり、答えを先に見た回よりも進みは遅くなります。覚えたあとに出す形とは違い、覚える最中に作るのがこの技です。
やり方
定義や公式を読む前に、見出しだけ見て一文で書きます。用語なら「たぶんこういう意味」を10秒で作り、開いてから直します。まったく手がかりが無いと作れないので、頭文字や語数だけ残すくらいの隠し方から始めます。隠す範囲は項目ごとに変えてかまいませんし、作った答えは残しておきます。正誤を開いて確かめる手順は答え合わせをするが扱います。
はまりどころ
手がかりを全部隠すと、何も作れないまま時間だけ過ぎます。隠す量を決めずに始めると、当てられない項目ばかりが並びます。どこまで自由に作らせるかで効果の大きさが変わると報告されているので、隠す量は加減します。確かめられているのは短い言葉や一文が中心で、長い教材で同じ差が出るとは言えません。覚えたあとに閉じて出す形は思い出す練習が担当です。
確かめられ方
Bertsch ら 2007 のメタ分析では、自分で作った条件が読んだ条件を上回り、全体で中程度の効果でした。McCurdy ら 2020 は126論文310実験をまとめ、どこまで自由に作らせるかが効果の大きさを左右すると報告しています。材料は単語や短い文が多く、条件ごとの差は大きいと整理されています。
解説動画(海外・英語): Using Desirable Difficulties to Enhance Learning, Dr. Robert Bjork/LastingLearning.com
望ましい困難: 動画はまず、自分が二十年以上前に付けた言い方だと述べます。学ぶ人に負荷をかけて居心地を悪くし、その場の伸びはむしろ遅く見えるのに後から効いてくる、そういう現象が並んでいた。狙う先は訓練の本来の的である長く残ることと別の場面へ運べることなので望ましく、学ぶ側にとっては難しい。だから望ましい困難と呼ぶのだと言います。
難しさの中身: 挙がる中身は、まとめてやらず間をあけること、条件を一定にせず変えて出すこと、題材を一つずつ固めて進めるのではなくインターリービングの形で混ぜること、そしてフィードバックを絶やさずには与えないことです。どれも形は同じで、習っている最中の進みは遅く見えるのに、間を置いて測ると伸びが出ると述べます。
作らせると残る: その良い例として動画が出すのが生成の効果です。教える側が答えを渡してしまうのではなく、学ぶ側に答えを作らせられたとき、あとでずっとよく覚えている。そう示す研究が何十年分あると言います。同じ中身でも、渡されて受け取る形と、手元にあるもので自分から出す形とでは、後に残る量が違うという話です。
作れる相手か: ただし条件が付きます。学ぶ側がすでに持っている知識と、渡された手がかりだけで作りきれること。そこが足りないと作る作業は成り立たず、望ましくない困難に変わると動画は言います。同じ難しさでも、いまの状態で応じられる人には望ましく、背景がまだ無い人にはそうならない。人と時期で分かれるという見方です。
ただ難しくしない: 運動技能の分野にも、学ぶ側の準備に対してちょうど良い難しさの点を探る研究があると触れます。そのうえで動画は、この言い方が広まるにつれとにかく難しくすれば伸びると読まれてきたが、そこではないと釘を刺します。選ばれた難しさが、長く残る覚え方と分かり方を作る働きそのものを引き出すのだ、と結びます。空欄を自分で埋めきれる幅に保つ話として読めます。