炊き分けの機能と、早炊きの使いどころ。
炊飯器にまかせるときに人が決めるのは、米と水の量と、選ぶコースの2つです。農林水産省は、電気炊飯器なら吸水も含めて機械が自動で行うとしており、大半の機種は蒸らし時間も運転に組み込まれていると書いています。だから浸す時間や蒸らす工程を外側で足すと、同じ工程を二重に取ることになります。炊き上がったら10分蒸らす?を足す前に、運転の中身を取扱説明書で確かめます。選ぶ順番は、釜の加熱方式の把握、米の量、コースの3段です。
加熱方式は4つに分かれます(日本電機工業会)。マイコン式の直接炊きは本体底のヒーターが内釜を直接加熱し、間接炊きは外釜の水を温めて内釜を蒸し上げます。間接炊きは直接加熱より火力が小さく、保温に適さない構造だと同会は書いているので、保温する時間が長い家庭では方式から見ます。IH式は磁力線で内釜自体を鍋底や側面から発熱させ、圧力タイプは水を100℃以上にして粘りと弾力を引き出します。鍋で炊く場合と違い、切り替えは機械が持ちます。
熱源の差は測られています。綾部園子ら4名は、大量炊飯器のガス・電気・IHで炊いた飯を比べました。ガスとIHは沸騰までの時間がほぼ同じで、98℃以上を20分以上保っています。電気の炊飯器は沸騰までが長く、上層の飯は糊化(α化)が不十分でした。低価格帯の品種を大量炊飯器で炊いた結果なので、家庭用の機種にそのまま当てはめられません。
同じ機種でも、釜の中の場所で仕上がりは変わります。中国の大学と家電メーカーの研究チームは、IH炊飯器のコイルを底・隅・側面に置き替え、米600gを水1.4倍で炊いて釜内4点を測りました。隅のコイルでは4点の水分が59.9〜61.9%に収まり、硬さにも位置ごとの有意差がありませんでした。底のコイルは昇温が最も速い代わりに、同じ4点の水分が59.2〜73.0%まで開きました。コイルを作る会社の所属者が著者に入っており、利害の申告もあります。炊きムラが出たときは、コースより先に米の量を見ます。日本電機工業会の目安では、0.54Lの釜は3合まで、1.8Lの釜は10合までです。炊き上がったらほぐすに移り、上下を返して水分の偏りをならします。
圧力タイプの強さも、味の一本道ではありません。家電メーカーと農研機構の共同発表では、家庭用の圧力は1.2気圧程度の微圧が多いとされています。塚原知里ら6名は調圧弁を動かして1.2気圧と1.5気圧で炊き比べ、32名のパネルで評価しました。高圧の飯は有意に硬く、粘りも大きい傾向で、味には差が出ませんでした。テンシプレッサーで測った硬さと粘りも、高圧側で増えています。発表者には炊飯器を作る会社の所属者が入るので、利害を見て読む資料です。
早炊きは、時間を削る代わりに何を省くかで中身が決まります。炊飯器を作るパナソニックの解説では、普通炊きは前炊き・炊き上げ・沸騰維持・追い炊き・蒸らしの5工程です。早炊きは各工程を短くするか、浸水と蒸らしを省いて時間を詰めます。同社の目安では、普通炊き約48〜56分に対して早炊きは約20〜38分です。火力がやや強いぶん、米の種類によっては硬めに炊き上がるとも書いています。早炊きモードは味が落ちる?の中身は、モードの優劣ではなく、吸水と蒸らしをどこで取るかという話になります。洗ってから10分浸してボタンを押すと、同社はふっくら仕上がるとしています。炊き上がりが硬ければ、蓋を閉めて蒸らしを延ばすと改善する場合もあります(農林水産省)。書き残すのは、選んだコース・米の量・浸した時間の3つで足ります。
出典
- 公的機関 農林水産省 今日からできる!お米のおいしい食べ方
- 資料 日本電機工業会 炊飯器の仕組み
- 論文 綾部園子・笠松千夏・香西みどり・畑江敬子(栄養学雑誌 62巻4号)(2004) 熱源の異なる大量炊飯器で炊飯した飯の好ましさの評価
- 論文・英語 Kong J ほか(Frontiers in Nutrition 9巻・華中農業大学と家電メーカーの共同研究)(2022) Corner coil heating mode improves the matrix uniformity of cooked rice in an induction heating cooker
- 論文 塚原知里・加古さおり・中須慧・依田香子・新田浩朗・奥西智哉(日本調理科学会大会研究発表要旨集 29巻)(2017) 加圧強度が米飯に及ぼす影響の解明
- 資料 パナソニック(炊飯器を作る会社の解説)(2025) 炊飯器の早炊きの違いを解説!「炊飯時間」だけでなく「味」や「電気代」の違いも

