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火加減と時間、蒸らしの目安。

炊飯器にまかせるときと違い、土鍋では火加減と時間を人が決めます。決めることは、米と水の量・浸す時間・火加減と時間・蒸らしの4つで、順番もこのままです。前の段が決まらないと、次の段は決まりません。土鍋は熱が入るのが遅く、消火後も熱が残る鍋なので、時計だけでは炊き上がりを当てられません。湯気の量と匂いを合図に足します。同じ米と同じ水で炊飯器と食味を比べた公開データは見当たらないため、土鍋で炊くとおいしい?は未確認の説として扱います。

米の量が決まらないと、水の量も決まりません(お米炊飯研究所の動画)。米の業界では、1合を重さ150gで数えます(同じ動画)。プロの炊飯では計量カップを使わず、米と水をグラムで量ります(同じ動画)。台所の計量カップの1杯は200mL、米の1合は180mLなので、取り違えると水加減がずれます(料理人設楽の料理道場)。土鍋は蓋の合わせ目から蒸気が抜けるので、1合あたり200mLという水加減の目安もあります(同じ動画)。家でも重さではかるやり方に寄せると、回ごとの比が揃います。合ではかるなら、すり切りの高さを毎回そろえます。

合ではかる
一合升
合ではかる写真: Namazu-tron / CC BY-SA 3.0

浸すのは、火にかける前に粒の中心まで水を入れる段です。吸水が進むと、米の水分は10〜15%から55〜65%まで増え、水温が高いほど水の広がりが速くなります(複数の報告をまとめた総説・Muchlisyiyah ら・2023)。もち米を30・40・50℃の水に0.25〜8時間浸した試験では、最初の1時間で吸水が急に進み、2時間を過ぎると緩やかになりました(Hanucharoenkul ら・2021)。浸水の水温は、粒の割れを避けるためでんぷんの糊化温度より低く保ちます(同じ試験の条件)。家庭の目安は夏15〜30分・冬30分〜1時間で、吸水が足りない回は芯が残ったご飯や炊きムラが出たご飯に寄ります(きじまごはんの動画)。浸けるのは土鍋ではなくボウルです。土鍋のひびに水が染みると、火にかけたときに割れる原因になります(白ごはん.comの動画)。

火加減は3段で動かします。中火で沸騰させる、湯気が立ったら弱火で蒸し煮にする、最後に火を止めます。目安の時間は、点火から100℃までの温度上昇期が約10分、激しく沸かす沸騰期が約5分、火を弱めて100℃を保つ蒸し煮期が10〜15分です(農林水産省)。粒の中心まで糊化(α化)を終えるには98℃以上で約20分が要るので、沸騰期と蒸し煮期の合計がここに当たります。温度上昇期が短すぎると、中心に水が届く前に外側が糊化して芯が残ります。逆に火が弱くて10分以上かかると、沸騰の対流が起きずに鍋の中の温度が不均一になり、下の米が吸いすぎて硬さに上下差が出ます(同じ資料)。金属の鍋で鍋で炊くときより、土鍋は沸騰までに時間がかかります(服部幸應チャンネルの動画)。資料ごとに数字は幅があり、強火で沸騰まで5分・弱火10分・蒸らし10分という組み立てもあります(同じ動画)。沸騰までの長さは鍋と火力で変わるので、湯気が出るまでの時間を計って次の回の目安にします(ハッピースの動画)。弱火の長さは15分前後です(白ごはん.comの動画)。湯気の勢いが落ちて香ばしい匂いが立ったら止め時です(料理人設楽の料理道場)。おこげが欲しいときは、火を止める前に中火へ戻して30秒です(同じ動画)。

鍋で炊く
炊飯用の土鍋
鍋で炊く写真: photo: Qurren (talk) / CC BY-SA 3.0

蒸らしは、消火後に高温を保つ約10分です。この間に粒の周りに付いた水が粒の中へ入り、水分の均一化が進みます(農林水産省)。土鍋は、金属鍋と比べた煮物と蒸し物の試験で、消火後も一定の時間は温度が上がり続け、その後の低下も緩やかでした(杉山ら・2012)。炊飯で器具を比べた試験ではありませんが、火を止めたあとも加熱が続く鍋という点は同じです。そのため、蒸らしの途中で蓋を開けないようにします。開けるたびに蒸気と温度が逃げ、98℃以上の20分が削られます。

蓋を開けるのは、弱火の終わりに水が残っていないかを見る1回だけにします。水が残っていたら、弱火で1〜2分だけ足します(白ごはん.comの動画)。蒸らしが済んだらほぐすに移り、しゃもじで底から返します。炊けたまま置くと下の粒が押しつぶされるので、空気に触れさせると粒が立ちます(農林水産省)。書き残すのは、米の重さ・水の量・浸した時間・湯気が出た時刻・弱火の長さの5つで足ります。

ほぐす
しゃもじ
ほぐす写真: Gribeco / CC BY-SA 4.0

出典

  1. 公的機関 農林水産省 米の調理特性
  2. 公的機関 農林水産省 お米のおいしさがアップする炊き方と保存法
  3. 論文 杉山智美ほか10名(日本調理科学会大会研究発表要旨集 24巻)(2012) 煮物・蒸し物調理における土鍋の加熱調理特性
  4. 論文・英語 Pattharasuda Hanucharoenkul ほか(Agriculture and Natural Resources 55巻2号)(2021) Influence of soaking temperature and time on the kinetics of water absorption and pasting properties of glutinous rice
  5. 論文・英語 Jhauharotul Muchlisyiyah ほか(Advances in Agricultural and Food Research Journal)(2023) Kinetics of Water Absorption during Rice Soaking: A review
  6. 動画 白ごはん.comチャンネル 土鍋ごはんの炊き方/普段のごはんがご馳走に!失敗なく炊けるポイントも紹介!
  7. 動画 料理人設楽の料理道場 【プロ直伝】 普通の土鍋で炊く 簡単土鍋でごはんを炊く方法 お米の研ぎ方からおこげを作る方法までプロの板前が詳しく説明 これで失敗しません!
  8. 動画 服部幸應チャンネル【公式】YUKIO HATTORI OFFICIAL 【服部幸應流】至高の土鍋ご飯の炊き方
  9. 動画 きじまごはん 【料理家きじまりゅうた公式チャンネル】 大人の家庭科 【ごはん・白米の炊き方】 理屈がわかれば水加減も失敗しない! はじめての鍋炊き炊飯!
  10. 動画 ハッピース 和食のある心地よい生活 ♪調理音ASMR♪ 土鍋、白ご飯の炊き方【プロの和食料理人が丁寧に教える】全く新しい水加減方法! 試行錯誤の上についに完成!炊飯器でも美味しく炊けます!
  11. 動画 お米炊飯研究所/Chinobeikokuten tv お米炊飯研究所#4 ごはんが毎回おいしくなるお米の計量(基本)〜計量カップ、市販計量カップ、一合枡、一升枡でお米を量ってみる