マミー型シュラフ
寝袋・マット
軽さと暖かさを両立した形
どんな道具?
肩から足元へすぼまる人型の寝袋で、体との隙間が少ないぶん、少ない中綿でしっかり暖まります。フードで頭まで包めるので朝晩が冷える春秋や冬に強く、同じ暖かさなら封筒型シュラフより軽く小さくまとまります。登山や寒い時期のキャンプ向きです。
選び方
身長に対して長すぎると足元に冷たい空気がたまるので、自分の身長に二十センチ足したくらいを目安にします。首まわりのドラフトカラーと、ジッパー裏のドラフトチューブがあるものは、冷気の侵入がはっきり減って冬の使い心地が変わります。
使い方のコツ
中で着込みすぎると中綿がつぶれて、かえって寒くなることがあります。薄手の長袖と靴下くらいにとどめ、フードのひもを絞って顔だけ出す形にするのがいちばん暖かい使い方です。寝る前にトイレを済ませ、体を温めてから入るのも効きます。
手入れ・注意
使ったあとは湿気を抜き、圧縮したまま長期保管しないのが鉄則です。ジッパーは薄い生地を噛みやすいので、片手で生地を押さえながらゆっくり動かすと傷めません。汚れは部分洗いで対応し、丸洗いの頻度は抑えたほうが長持ちします。
解説動画: 安いシュラフでも冬に眠るための工夫/Lacampin たくむ ラキャンピン
概要: 寝袋のスペックが少し低くても冬の夜を越すための工夫をまとめた回。寝袋そのものを買い替えず、周辺の道具と使い方で暖かさを作るという方向で、湯たんぽやマット、シュラフカバー、隙間の塞ぎ方までを扱う。冬キャンプが年に数回しかない人ほど効く内容になっている。
まず底冷え対策:マットのR値: 地面からの冷えは影響が大きく、対策しないと体感温度が最大10度ほど下がるとされる。グランドシートに銀マットを敷いて寝袋を広げる程度では、たいてい底からの寒さで目が覚める。マットの断熱性はR値で表され、メーカーごとに基準が違うものの合計が6を超えるように重ねればほとんどの冬キャンプで底冷えを感じない。銀マットは熱を反射する銀面を上にして敷き、その上に自動膨張式マット、さらにウールのブランケットを重ねる組み合わせを使っている。
足元の湯たんぽは一石二鳥: 寝袋は足元に隙間ができやすく、最も冷えを感じる部位になる。湯たんぽを入れておけば、膝を曲げても足がマットからずれても温かさが保てる。氷点下ではもう一つ利点があり、ナルゲンボトルに湯を入れて靴下で包み足元に入れると、一晩温かいうえに朝には凍っていない水を調理や飲用に確保できる。
隙間を塞いで空気の流れを止める: 使っていないタオルやスタッフバッグ、上着は、身につけても保温力はほとんど変わらない。寝袋の中の空気の通り道を塞ぐ詰め物として使う方が効く。効くのは三カ所で、足元に詰める、意外に冷える膝の周りに入れる、最も空気が出入りする首周りにタオルをマフラーのように巻く。肌に密着した靴下は血流が悪くなるので脱ぐ方がよく、ゴアテックスの入ったレインジャケットは体温を遮ってしまうので中に着込むには向かない。
シュラフカバーと結露対策: シュラフカバーは劇的に暖かくなる道具ではないが、寝袋との間に空気の層ができて体感温度が多少上がる。ダウンは湿気を含むと羽毛がへたって空気の層が小さくなり、保温力がそのまま落ちるため、撥水加工のないダウンシュラフでは結露対策として必須になる。カバーのチャックを一番上まで閉めると中で結露するので、少し開けておくと軽減できる。朝は吸水速乾のタオルで寝袋の結露を拭って干しておくと、次も同じ状態で使える。
解説動画(海外・英語): The TRUTH About Expensive Sleeping Bags!/MyLifeOutdoors
寝袋の「◯℃」は3つある: 寝袋の表示温度が分かりにくいのは、ほとんどの寝袋に3つの数字があるから。快適温度(comfort)は、寒がりな人も含めて全員が暖かく眠れる温度。下限温度(limit)は、たいていの人が寒いと感じる温度で、寝袋が現実的に扱える限界という意味。極限温度(extreme)は事実上の生存温度で、理論上は死なないというだけ。動画の例では「0°F(約−18℃)」と名前が付いた寝袋の、実際の快適温度は14°F(約−10℃)で、0°Fは下限温度。つまりその温度では寒さに震えながら丸まって耐えることになる(危険ではないが、楽しくもない)。
名前の数字を信じてはいけない: ここが本題。メーカーは認証を受ける義務が無く、認証を受けたとしても、その認証値を製品名に使う義務も無い。だから名前に書かれた数字は好きに決められる。例に挙げた製品は下限温度を製品名にするという業界の慣行に従っているだけで、騙す意図はないとしている。一方で紛らわしい例として、1万円以下の安価な寝袋が「10°F(−12℃)=快適温度」と表示していたが、小さな注記に「実は下限温度」とあり、さらにタグを見ると本当の下限は12°F、快適温度は24°F(−4℃)だったという実例を挙げている。
値段に関係なく比べられる、たった一つの手がかり: それがISOによる第三者試験・認証。動画の高級寝袋(ダウン、1.6kg、7万円台)と安価な寝袋(化繊、2.6kg、6千円弱)は、同じ手順・同じ測定で認証されているので、表示値どうしを直接比べられる。値段や素材が違っても、この認証があれば横並びで判断できる。ただし注意点があって、認証値は寝袋やタグに書かれているとは限らず、メーカーのサイトを掘るか、直接問い合わせないと分からないことが多い。そもそも認証を受けていないメーカーもある。