舟遊びの昼食

印象派

ピエール・オーギュスト・ルノワール/1880〜81年

どんな絵か

セーヌ川沿いのレストランのテラスで、昼食を終えた一行がくつろいでいる場面。縦130cm×横176cmのカンヴァスに14人が入る。日よけ越しの白っぽい光と、手前のテーブルに残ったグラスや果物の照りが、まず目に入ってくる。

どこを見るか

手前左から奥へ走る手すりが画面を斜めに割り、人の多い側と空いた側に分ける対角線構図。白いテーブルクロスが画面でいちばん強いハイライトになり、そこから犬を抱く女性、中央でグラスを傾ける女性へと目が渡る。麦わら帽子の白が奥まで点々と続く。

使われている技法

カンヴァスに油彩。輪郭線を引かず、明るい色を細かく置き重ねて肌や布を作る。影にも黒をほとんど使わず、青や紫を混ぜて彩度を落とさない。人物を入れ替えながら何度も描き直したと伝えられている。

描かれた背景

1880〜81年、パリ郊外シャトゥーのレストラン「フルネーズ」に集う仲間を描いたもの。犬を抱くのは後に妻となるアリーヌ、右手前で椅子にまたがるのは画家仲間のカイユボットとされる。1882年の第7回印象派展に出品され、いまは米国のフィリップス・コレクション蔵。

解説動画: ルノワールの転換期として見る舟遊びの昼食/ZERO ART / ゼロアート

この絵をどこに置いているか: 40歳に差しかかる1880年代から作風が変わっていく、その転換期の傑作としてこの絵を挙げている。場所はセーヌ川に浮かぶ島シャトゥーのレストランの2階テラスで、行楽の合間の昼食を楽しむ姿を描いたもの。ムーラン・ド・ラ・ギャレットとほぼ同じ大きさで、休日の憩いという主題も同じだと言う。

描かれているのは誰か: モデルは友人や知り合いで、犬とたわむれる女性は後に妻となるお針子のアリーヌ・シャリゴだと説明する。かぶっている帽子は麦わら帽子・山高帽・シルクハットと混ざっており、さまざまな階層の人をわざと同じ画面に入れたとも言われている、と紹介している。

印象派の描き方から離れ始めている: この絵には印象主義的な表現だけでなく、輪郭をはっきり描くような古典への関心が見て取れると指摘する。前後してアルジェリアやイタリアを旅し、特にイタリアでラファエロやポンペイの壁画に強く影響を受けたとされ、以後は古典主義的な線の探究と印象主義の色彩を融合させていくことになる、と続けている。

人物の画家になるまで: 13歳から20歳まで磁器の絵付け職人として働き、機械化で仕事が減ったのを機に画家を志したと語る。モネと並んでカンヴァスを立てた行楽地の絵で筆触分割を確立するが、水面と光に向かうモネに対し、ルノワールは中央の島を大きく取り人物を細部まで描いた。人々の営みと生きる喜びが生涯の主題だと説明している。