印象・日の出

印象派

印象・日の出は、クロード・モネによる1872年の作品。

どんな絵か

50×65センチ(額なし)のカンヴァスに、ル・アーヴル港の朝もやと、オレンジ色の太陽、二艘の小舟。奥の帆船やクレーンは輪郭がほどけ、影のようにしか描かれていない。故郷のル・アーヴルに滞在した1872年に描いた6点のうちの1点で、制作は同年11月頃とされる。題名は地名ではなく、モネが「印象」と付けた。パリのマルモッタン・モネ美術館蔵。

どこを見るか

太陽は、くすんだ青灰色の海と空のなかに置かれた、燃えるようなオレンジの一点。Tate は、青の補色がオレンジで、並べるとたがいを明るく見せる組だと説明している。補色の対比が、画面でいちばん強い。奥行きは、手前に斜めに置かれた小舟が作ると見られ、帆船やクレーンは奥へ行くほどぼやけていく。水面の反射は、横に短く切った筆あとの反復とパターンで、そこだけが動いて見える。

使われている技法

油彩。Tate は印象派が下絵からでなく、その場で描いたと説明する。現場で短時間に置いた筆あとをそのまま残す。美術館の作品ページは、筆触の自由さを挙げる。1st Art Gallery は、空をバーントシェンナの薄塗りと説明する。Great Artists Explained by Anabel は、目から手へ直接写されたような絵だと話す。輪郭を追わずに色の塊で捉える方法は、絞りを開けて背景を溶かした写真の見え方に近い。

描かれた背景

1874年、ナダールの旧アトリエで開かれた展覧会に出品された。批評家ルイ・ルロワが、題名の「印象」を侮辱として使い、その言葉が印象派の名になったと Tate は説明する。ただ、山田五郎(オトナの教養講座)は、記事の初めから「印象」が繰り返される語で、名前が題名から来たとは限らないと話す。制作の日は、天文学者ドナルド・オルソンの研究が、天文現象を手がかりに1872年11月13日の朝と特定した。

出典

  1. 公的機関・英語 Tate(テート美術館) Art Terms: Impressionism
  2. 公的機関・英語 Tate(テート美術館) Art Terms: Complementary colours
  3. 公的機関・フランス語 Musée Marmottan Monet(パリ) Impression, soleil levant(作品解説・登録番号4014)
  4. 資料・英語 Finestre sull'Arte(美術メディア) Astronomy to learn about art
  5. 動画・英語 1st Art Gallery com MAKING A FIRST IMPRESSION: Impression, Sunrise by Oscar-Claude Monet
  6. 動画・英語 Great Artists Explained by Anabel Impression, Sunrise (1872) - Claude Monet - Painting analysis | Masterpieces in 3 min.
  7. 動画 山田五郎 オトナの教養講座 【モネ】印象派誕生の定説が覆る!?裏にセザンヌの影・・・【印象・日の出】

解説動画: 印象派の名の由来を、批評の原文から見直す/山田五郎 オトナの教養講座

通説をどう疑っているか: 批評家がこの絵を「描きかけの壁紙のほうがまだまし」と酷評し、そこから印象派という名が生まれたという通説を取り上げ、その元記事の全文が今は読めるようになったと述べる。1874年4月25日の風刺新聞に載ったルイ・ルロワの評を訳したうえで、聞いてきた話とはニュアンスが違う点が三つあるという。

記事は物語仕立てだった: 記事は、語り手が古典主義のアカデミー画家を第1回展に案内するという設定で書かれていて、酷評しているのは案内される側の登場人物だと説明する。壁紙の台詞もその流れの中の一つで、ルロワ自身はむしろ彼らのやっていることに理解を示している。だから呼ばれた側がその名を受け入れたのも納得できる、という見方をとる。

題名と、名前の出どころ: モネはこの絵に題名を付けておらず、カタログ係だったマネの弟に急かされて「印象・日の出」としておけと答えたらしいと述べる。一方で記事は表題からして「印象主義者たちの展覧会」で、ピサロやシスレーの前でも「感じが出ている」が繰り返される。「印象」は最初から鍵語だったから、名前がこの一枚だけから来たとは言い切れないという。

何が叩かれ、何が認められていたか: 叩かれたのは、調子の移り変わりを作らずに色の塊を点で置いていく描き方で、波も点を並べただけだと言われる。一方でルロワは、朝もやの海の「感じが出ている」という長所を正確に押さえていたと評価する。写真では捉えられない感じ、今でいう空気感を出すことが彼らの狙いだったから、その名を悪くないと思えたのだと述べる。