三裂星雲
星雲
見え方: 空が暗ければ双眼鏡で
名前の由来が、目には見えない星雲です。三つに裂ける暗い帯は写真の中の話で、双眼鏡では星のそばの淡い丸にとどまります。
何がどう見えるか
6.3等という数字ほどには見えない対象です。光が28分角——満月ほどの面に散っているぶん表面輝度が低く、同じ等級の星のようには目立ちません。双眼鏡では数個の星が集まった場所に、輪郭のない丸い光がかぶさっているという見え方になります。名の由来である三つの裂け目は、どの段階でも現れません。光害のある空では星だけが残り、光のほうが先に消えます。
探しかた(目じるしからの道順)
干潟星雲を視野に入れてから、北へおよそ1.5度送ります。7倍の双眼鏡なら干潟星雲と同じ視野の北の端に入る近さで、二つを一度に見くらべられます。干潟のほうが明るく大きいので、先に干潟を導入し、視野を少し北へずらして淡いほうを探す順序が迷いにくいです。いて座の天の川の中で、両者は縦に並びます。
双眼鏡で何が増えるか
増えるのは色ではなく、淡い光と星を見分ける力です。中心にある7等台の星の周りに、輪郭のない丸い光がかぶさっているのが分かります。口径50ミリ以上と、天の川が肉眼で見える暗さがそろえば、丸の北側にもう一段淡い光が続きます。三つに裂ける暗い帯は、この段階でも姿を現しません。倍率を上げても対象と背景が同じだけ暗くなるので、差そのものは変わりません。
写真との落差
写真では、青い反射星雲と赤い散光星雲が並び、赤いほうを三つに裂く黒い帯が走ります。この構図が名前の由来ですが、目には青も赤も帯も出ません。色は長時間露光が積み上げたもので、暗い帯は明るい面があってこそ黒く見えるため、面が淡いままの実視では区別がつきません。見えるのは灰色の丸が一つあるだけです。
正体
生まれたての星が周りを光らせている雲と、星の光を反射する雲が隣り合った場所です。赤く写るほうは水素が電離して光り、青く写るほうは塵が若い星の青い光を散らしている部分にあたります。三つに裂けて見える暗い帯はバーナード85という濃い塵の雲で、手前から光をさえぎっています。距離はおよそ4100光年、干潟星雲とほぼ同じ奥行きです。