干潟星雲
星雲
見え方: 空が暗ければ肉眼で
天の川の中に、暗い空でだけ見える淡いしみがあります。いて座の南斗六星の西にあり、双眼鏡では星の粒とガスの光が重なります。
何がどう見えるか
肉眼では天の川の帯の中の、少しだけ濃いしみです。90分角かける40分角と満月三つぶんの幅がありますが、光が薄く広がっているため、市街地の空では背景の明るさに溶けて消えます。夜空の明るさが郊外なみに落ちた場所で、視線を少しそらすと輪郭のない光として浮かびます。双眼鏡に入れると、粒立つ星とにじんだ光が同じ視野に重なります。
探しかた(目じるしからの道順)
いて座の南斗六星、ひしゃくの形をした六つの星が出発点です。ひしゃくの上ぶたにあたる星から西へおよそ5度進むと、天の川がひときわ濃くなる場所に入ります。双眼鏡の視野を天の川に沿って北へ送ると、淡い光と星の粒が交互に現れます。その最初の大きな塊が干潟星雲で、さらに北へ1.5度進むと三裂星雲です。
双眼鏡で何が増えるか
7倍から10倍で、にじんだ光と星の粒が同時に見えます。粒のほうは散開星団NGC 6530で、星雲の東半分に重なる若い星の集まりです。西半分がガスの光にあたり、その二つを同じ視野で見分けられるのがこの対象の面白さです。名の由来である中央を横切る暗い割れ目は、口径50ミリ級と、天の川がはっきり見える暗さがそろって初めて分かる程度です。
写真との落差
写真では鮮やかな桃色の雲が視野いっぱいに広がり、割れ目が黒く際立ちます。あの色は水素の出す赤い光を長時間ためた結果で、目には彩度のない灰白色にしか映りません。写真では星団の星が雲に埋もれますが、目では逆に星の粒が先に見え、雲は後から浮かぶ順になります。明暗の差も写真ほど強くは出ません。
正体
若い星が周りの水素を電離させて光らせている領域です。距離は年周視差と星団の測定からおよそ4100光年とされ、重なって見えるNGC 6530は生まれてから数百万年しか経っていない星の集まりです。名前の由来である暗い帯は手前にある濃い塵の雲が背後の光をさえぎった部分で、空洞ではありません。天の川の同じ腕の中にある、星の生まれる場所です。