わし星雲
星雲
見え方: 空が暗ければ双眼鏡で
双眼鏡が捉えるのは、星雲ではなく星の集まりのほうです。ガスは暗い空でようやく星々を包む淡い光として分かる程度で、写真で名高い柱は視野のどこにも出ません。
何がどう見えるか
視野に入るのは、十数個の星が三角形に散った集まりです。これが散開星団NGC6611で、星雲を光らせている当の若い星たちにあたります。ガスのほうは、空が暗い場所でのみ星々の周りにうっすら広がる光として分かる程度です。NASA のメシエ一覧は6.0等、広がりは70分角×50分角としますが、この等級には星団の分まで含まれており、面に散った星雲の淡さは数字に出ません。
探しかた(目じるしからの道順)
いて座の南斗六星から天の川を北へ辿ると、まずオメガ星雲の小さな光の帯に行き当たります。わし星雲はそこから北へおよそ2.5度で、低倍率の双眼鏡なら二つが同じ視野の端どうしに入る距離です。へび座の尾にあたる位置なので、南の空が低い時期や街明かりの方角では、天の川ごと沈んで辿れません。
双眼鏡で何が増えるか
星団の星が粒に分かれることが、双眼鏡で最初に増える中身です。いちばん明るい星でも8.2等なので肉眼では一つも分けられませんが、口径50ミリ級なら十数個が散らばる形まで届きます。星雲のほうは倍率を上げても濃くならず、視野が暗くなるぶんかえって沈みます。視野を広く取り、星団の周りをそらし目でなぞるほうが淡い光は拾えます。
写真との落差
ハッブル宇宙望遠鏡の「創造の柱」は、高さ4〜5光年の一角を切り出した画像です。星雲全体が70光年×55光年に広がることを考えると、写真はごく狭い範囲の拡大にあたり、双眼鏡の視野で柱の形が浮かぶことはありません。色についても同じで、長時間露光が赤く出す水素の光は、目には白っぽい微光のままです。
正体
できたばかりの星の集団と、それを産んだ水素の雲が同じ場所に重なっています。星団の若い星が出す紫外線が周りのガスを光らせている仕組みで、距離はおよそ5700光年、ガイア衛星の視差にもとづく値です。柱に見える部分は紫外線に削られて残ったガスの塊で、その内側では今も星が生まれつつあります。