金星
惑星の見え方
夜空でいちばん明るい星は、たいてい金星です。最大光度でマイナス4.7等(国立天文台「ほしぞら情報」)に達し、ほかの惑星や恒星とは明るさの桁が違います。
いつ、どちらの空に出るか
出るのは日の入り後の西の空か、日の出前の東の空のどちらかで、真夜中に南の高い空へは昇りません。地球より内側を回るためで、水星と同じ制約を受けます。宵の明星と明けの明星は同じ星で、暦計算室「暦Wiki 惑星/会合」の会合周期583.9日ごとに入れ替わります。一度の出番は半年以上続き、その間はほぼ同じ時間帯に同じ方角へ出ます。太陽に近づく合の前後は見えません。
肉眼でどこまで見えるか
マイナス4.7等という明るさは、恒星でいちばん明るいシリウスのおよそ20倍にあたります。街なかでも薄明の残る空でも見え、太陽が沈んで最初に光り出す点はたいてい金星です。それでも肉眼に写るのは強い一点までで、欠けた形までは分かりません。視直径が最大でも一分角ほどで、肉眼の分解能と同じくらいだからです。低い空に出る時期は、霞や薄雲に光を削られます。
双眼鏡で何が増えるか
増えるのは形です。双眼鏡の倍率でも、細長く欠けた時期なら丸くないことが分かります。欠けが大きいのは地球に近い時期で、細いほど視直径は大きくなります。ただし手持ちでは光がにじみ、揺れで像が崩れます。手すりに肘を置くか、双眼鏡用の三脚に載せて視野を止めると、輪郭が取りやすくなります。模様や雲の帯は写りません。星全体を一様な雲が覆っていて、明暗の差そのものが乏しいためです。
ほかの星との見分けかた
迷う相手は木星です。どちらも白く強い点ですが、金星のほうが数倍明るく、しかも出る時間帯が違います。金星は夕方か明け方に限られ、木星は真夜中にも高く昇ります。恒星との差はまたたきで、金星はほとんどまたたかず、地平線近くにあるときだけ色がちらつきます。数週間見ていれば、背景の星に対して動くことでも分かれます。真夜中の南に強い光があれば、金星ではなく木星です。
よくある勘違い
未確認飛行物体の通報先として、金星はよく名前が挙がります。低い空で強く光り、車や電車から見ると追ってくるように位置が変わるためで、航空機の灯りと取り違える例も同じ理由です。もうひとつは時間帯で、真夜中に見えている明るい星は金星ではありません。宵の明星と明けの明星が別だという受け取り方も残りますが、同じ一つの星です。薄明の中で水星と並ぶ時期は、明るく高いほうが金星になります。