海王星

惑星の見え方

約8等の海王星は、肉眼には届きません。国立天文台「ほしぞら情報」が伝える明るさで、口径の大きい双眼鏡と正確な位置の情報があって、ようやく視野に入る、この本の下限です。

いつ、どちらの空に出るか

惑星の衝は毎年めぐり、そのころは真夜中に南中して一晩中空にあります。ただし探せる夜は限られ、月明かりのある夜と、市街地の空では手が出ません。公転周期が約165年と長いので背景の星座はほとんど動かず、同じ星域を数年にわたって探すことになります。高度が上がる時間帯を選ぶほど、大気減光の分だけ有利になります。南の空に低くとどまる年は、条件がさらに厳しくなります。

肉眼でどこまで見えるか

肉眼では見えません。肉眼の限界等級は空の暗い場所でも6等台までで、約8等の海王星はその外側にあります。天王星までは条件しだいで届きますが、ここからは道具の側の問題になります。空を見上げて探す相手ではなく、位置の分かっている一点を星図と突き合わせて拾いに行く対象です。視力や暗順応では埋まりません。双眼鏡を持たずに出た夜は、探す対象にすらなりません。

双眼鏡で何が増えるか

口径の大きい双眼鏡と、星図帳なみに細かい位置の情報が要ります。集光は足りても倍率が足りず、視野の中では背景の恒星とまったく同じ点にしか見えません。双眼鏡用の三脚に載せて視野を止め、星図の並びを一つずつ照合していくのが唯一の手順です。色も面も出ないので、そこにあると分かるところで終わります。数日おくと、その一点だけが動きます。

ほかの星との見分けかた

見分ける手は数日おいた位置の変化だけです。等級も色も背景の恒星と変わらないので、同じ視野を描くか撮るかして、動いた点を探します。天王星とは明るさで分かれ、5.6等と約8等では双眼鏡での見え方が別物です。一晩のうちに動きは分かりません。海王星が星座の中を進む速さは、一年で二度あまりにとどまります。同じ倍率、同じ向きで見比べるのが条件です。

よくある勘違い

濃い青の球という姿は、強調処理を通した画像のものです。Irwin ら 2024 の再解析は、ボイジャー2号の画像がコントラストを強めて公開されたものだと指摘し、実際の色は天王星に近い淡い青緑だと結論しています。目で見るぶんには、色として分かる段階に届きません。天王星の淡い色も同じで、双眼鏡では色として出ません。「肉眼で見える惑星」に海王星が入らないのも、この暗さのためです。