火星
惑星の見え方
赤い点の明るさが、二年あまりごとに大きく変わります。会合周期779.9日(国立天文台暦計算室「暦Wiki 惑星/会合」)で衝がめぐり、そのころだけ一等星を超える光になります。
いつ、どちらの空に出るか
惑星の衝の前後は日の入りに東から昇り、真夜中に南中して、一晩中どこかの空にいます。それ以外の時期は太陽との角度が小さく、夕方の西か明け方の東に低く出るだけになり、合をはさむ数か月は見えません。この巡りが暦計算室「暦Wiki 惑星/会合」の会合周期779.9日で、およそ二年二か月ごとに一回りします。衝から外れた年は、探しても目立たない点にしかなりません。
肉眼でどこまで見えるか
読み取れるのは色と明るさだけです。オレンジがかった赤みは肉眼でも分かり、衝のころには見かけの等級がマイナス2等台まで上がって、その年でいちばん目を引く星になります。離れた時期は1等から2等まで落ち、色も薄れます。この明るさの幅は、ほかの惑星には無い特徴です。衝の位置で近づき方が変わる点は、暦計算室のトピックス「火星の大接近と小接近」が扱っています。
双眼鏡で何が増えるか
模様は見えません。双眼鏡の倍率では視直径の小ささを埋められず、極冠も暗い模様も分かれないままです。増えるのは色で、集めた光が明るくなるぶん赤みが濃くなり、近くの星と並べたときの差がはっきりします。三脚や手すりで固定すると、にじみが減って色が読みやすくなります。形は点のままで、丸としては広がりません。この本の範囲には、表面の模様へ届く倍率がありません。
ほかの星との見分けかた
紛らわしいのは赤い恒星です。さそり座のアンタレスやオリオン座のベテルギウスも赤く、明るさが近い時期もあります。分かれ目は二つで、恒星はまたたき、火星はまたたきません。もうひとつは数週間おいて位置を確かめることで、火星は背景の星に対して動き、衝の前後には逆行します。一夜だけ見比べても、この差は出ません。同じ時刻に同じ星の並びを描いておくと、ずれが残ります。
よくある勘違い
大接近のたびに「火星が月と同じ大きさに見える」という話が出ます。視直径は最大でも25秒角ほどなのに対し、月は約30分角ですから、七十倍以上の開きがあります。肉眼でも双眼鏡でも、火星は点から丸にはなりません。この行き違いは大接近なら火星は大きく見えるで扱います。近づく年でも変わるのは明るさで、衝のたびに距離が違うため、マイナス2等台まで上がる年と1等台で終わる年があります。