波状雲
雲の種と変種
高さ: 決まった高さを持たない
雲層や雲片が、平行な波の列に並んで見える変種です。付く先は巻積雲・巻層雲・高積雲・高層雲・層積雲・層雲の六つで、上層から下層まで散らばるため固有の高さを持ちません。
どう見えるか
WMO 国際雲図帳の定義は「うねりを示す、斑状・層状の雲」です。一様な雲の面に濃い筋と薄い筋が交互に並ぶ形と、粒状の雲片が列をつくって並ぶ形の両方がここに入ります。同じ定義は「ときに二重の波の組が見られる」とも断っていて、向きの違う二組が重なると碁盤目のような模様になります。一枚の雲の中で列の向きはそろっているので、雲片一つの形より先に、縞の向きのほうが目に入ります。
どこにできるか(高さ・どの雲に付くか)
WMO 国際雲図帳が挙げる付き先は巻積雲・巻層雲・高積雲・高層雲・層積雲・層雲の六つです。上層から下層まで散らばるので、この変種に決まった高さはありません。巻積雲に付けば気象庁『気象観測の手引き』のいう見かけの幅1度以下の粒が列をつくり、層積雲に付けば見かけ上5度以上の大きな塊がうねります。
なぜその形になるか
手引きの参考「雲の発生」は、地形による上昇の例に「晴れた風の強い日に,山の風下側にできるレンズ雲や波状雲」を挙げています。風が山を越えて上下に振れると、上がった所で雲ができ下がった所で消え、波の腹と節が空に止まったまま並びます。風速や風向の違う層が重なった境目でも同じ並びが立ちます。上面が巻き上がって崩れる形のほうは、WMO が「ケルビン・ヘルムホルツ波」として別の名に分けています。
似た雲との分け方
放射状雲との分かれ目は、並びが視線とどう交わるかです。波の列が視線を横切って左右へ伸びていればこちら、帯が視線の先の一点へ集まって見えれば放射状雲になります。レンズ雲も近い相手で、あちらは一枚ずつが凸レンズ形の独立した雲、こちらは層の中の濃淡の並びだという違いがあります。蜂の巣状雲とも近く、空が丸く抜けて穴が並ぶならあちら、雲が切れずに濃淡だけが並ぶならこちらです。
この雲が出ている空で起きていること
並びが立つには、上下に安定した層と、その中を吹く風の両方が要ります。気象庁『気象観測の手引き』は雲の向きを雲形ごとに八方位で観測すると定めていて、波の列の向きと雲の進んでくる向きを合わせて見ると、その高さの流れの向きが読めます。この形は「波のような雲が出ると雨」が古くから見てきた並びでもあります。