蜂の巣状雲

雲の種と変種

高さ: 決まった高さを持たない

丸い穴が規則正しく並び、網や蜂の巣に見える変種です。WMO 国際雲図帳が挙げる付き先は巻積雲と高積雲で、層積雲に付くのはごくまれだと断っています。

どう見えるか

WMO 国際雲図帳の定義は「たいてい薄い斑状・層状の雲で、ほぼ規則的に散らばった丸い穴が空き、その多くは縁がほつれている」です。雲のほうではなく、穴のほうが規則正しく並びます。一つ一つの穴は小さく、面としていくつも同時に見え、雲片と空の組み合わせが網や蜂の巣を思わせます。穴の向こうには青空がのぞき、残った雲は細い橋のようにつながります。網の糸にあたるのが雲、目にあたるのが穴です。

どこにできるか(高さ・どの雲に付くか)

付き先は巻積雲と高積雲で、層積雲は WMO 国際雲図帳が「ごくまれ」と断っています。上層と中層にまたがるため決まった高さはなく、気象庁『気象観測の手引き』の出現高度でいえば2〜13kmの幅に入ります。巻積雲に出れば粒も穴も細かく、高積雲に出れば一回り粗い模様になります。どちらの棚でも透けるほど薄い場所に限って現れ、同じ雲の厚い部分では模様が立ちません。

なぜその形になるか

手引きの参考「雲の発生」は「上層で,温度の垂直勾配が急に変わっていると,広い範囲に細胞状に対流が群をなして起こる」とし、巻積雲や高積雲にはこの型が少なくないと書いています。細胞の上がる側に雲ができ、下がる側が空くので、下降している側が丸い穴として並びます。薄い層でしか成り立たない模様で、雲が厚くなれば穴は埋まります。

似た雲との分け方

取り違える相手は穴あき雲です。あちらは大きな穴が一つだけ空き、その中に氷の筋が残る付属雲で、こちらは小さい穴が面として並ぶ変種だという違いがあります。数と大きさを見れば足り、穴が一つなら穴あき雲、小さい穴が規則正しく並んでいればこちらになります。波状雲とも近く、雲が切れずに濃淡だけが並ぶならあちらで、こちらは空が抜けて穴になっていることが条件です。

この雲が出ている空で起きていること

この模様が出ている空では、雲の層をはさんで温度の変わり方が急になっています。手引きが細胞状の対流の条件に挙げるのがこの温度の段差で、層は薄く、上下の動きも弱い状態です。穴の縁がほつれて見えるのは、下降する側で雲粒が消えつつある境目だからと読めます。同じ細胞状の対流でも、層が厚ければ上面に塔状雲の塔が立ち、薄ければ下降する側が穴として抜けます。