放射状雲
雲の種と変種
高さ: 決まった高さを持たない
平行な帯が、遠近のせいで一点へ集まって見える変種です。集まる先を WMO 国際雲図帳は「放射点」と呼びますが、雲そのものは放射も収束もしていません。
どう見えるか
空を横切る幅の広い帯が何本も並び、地平線へ近いほど間隔がつまって見えます。WMO 国際雲図帳の定義は「遠近の効果によって地平線上の一点へ収束して見える」もので、帯が空の端から端まで渡るときは向かい合った二つの放射点ができます。頭の真上では帯の間隔は広いままで、つまって見えるのは低い空だけです。
どこにできるか(高さ・どの雲に付くか)
WMO 国際雲図帳が挙げる付き先は巻雲・高積雲・高層雲・層積雲・積雲の五つで、上層から下層までにまたがります。氷でできた巻雲の帯として出ることも、水滴でできた層積雲や積雲の列として出ることもあり、高さでは絞り込めません。見え方を決めるのは雲の高さより、帯の走る向きと自分の立つ位置の関係です。
なぜその形になるか
帯そのものは平行で、放射している雲は一本もありません。真っすぐな道路や線路が遠くで一点に見えるのと同じ、遠近による見かけの収束です。遠い帯ほど視線に対して浅い角度で見えるため、幅が縮んで一点に集まります。帯が並ぶ側では、同じ高さの空気が広い範囲で一つの向きにそろって流れています。
似た雲との分け方
波状雲と迷ったときは、並びの向きを見ます。視線の先の一点へ集まっていればこちら、視線を横切って左右に伸びていれば波状雲です。同じ雲に両方の名が付くこともあり、WMO 国際雲図帳は変種どうしが排他ではないと明記しています。立つ場所を変えて集まる先が動くなら、それは遠近が作った点です。
この雲が出ている空で起きていること
帯の並びは、その高さの空気が一つの向きにそろって流れていることの現れです。気象庁『気象観測の手引き』は雲の向きを八方位で観測すると定める一方、天頂から遠く離れた雲の向きは不明として扱うとも書いています。放射点の方角と、頭の上を通る帯の向きを別々に見ると、見かけと実際を切り分けられます。