洗う

はかる・洗う

動かすもの: 時間

たっぷりの水で手早くかき混ぜ、水を3〜4回替えます。農林水産省が示す洗い方です。力を入れて研ぐ方法と比べた実験では、飯の総合評価に有意差は認められず、研いだ側は米粒が砕けて溶け出す固形分が増えました。

何が起きているか

洗う目的はぬか層の粉を落とすことです。ぬかに多いリン・カリウム・マグネシウムなどの無機質には、でんぷんの糊化膨潤を抑え、老化を促す働きがあると檜作進 1970 は述べていますが、根拠に挙がるのは米を用いていない植物抽出液と塩類溶液の実験です。一方で力を入れてしっかり研ぐ必要は、現在の精米を使った比較では認められていません。

動かす数字

農林水産省はたっぷりの水で手早くかき混ぜ、水を3〜4回替える方法を示しています。官能評価に使う炊飯手順でもほぼ濁りがなくなるまでとされ、回数は3回程度で十分です。研ぐ方法と洗う方法を比べた貝沼やす子ら 1990 の実験では、飯の総合評価に有意差は認められませんでした。力を入れてしっかり研ぐ根拠は、ここで崩れています。

台所での測り方

ボウルに水を張って米を沈め、指を広げて数回まわします。水は米が隠れるくらい、たっぷり張ります。1回あたり10秒ほどで水を替え、とぎ汁がうっすら白い状態になったところで止めます。農林水産省の示す方法に合わせるなら3〜4回です。最初の水を捨てるところだけを急ぎ、あとは力を抜いて回数だけをそろえます。

よくある失敗

とぎ汁が透明になるまで洗うまで続けると、米粒の表面が削れて砕ける割合が増えます。ざるの上で水をかけながらこするのも同じで、米粒が砕けた状態は炊き上がりの粘りにも出ます。砕けた粒はでんぷんが溶け出しやすく、表面に残ります。回数を増やして食味の評価が上がったという測定結果は見当たりません。

解説動画: 【お米の教科書】それ、30年前は正解でした!/飲食店のための食べログチャンネル

30年前の正解: 話し手は米料亭の店主で、両手でこすり合わせる研ぎ方を30年前の洗い方としては正解だったと言います。いまは精米の技術が進んだので、同じ動作をすると米が割れてしまう。力を入れてしっかり研ぐが古い前提の上に立っていることを、その動作を実際にやって見せながら、当時は正しかったという言い方で否定します。

最初の水を切る: 最初は水を一気に注いで軽く混ぜ、すぐにざるごと上げます。袋の中で付いた埃や汚れが出たいちばん汚れた水を吸わせないため、という理由です。ざるに入れたまま注ぐのは持ち上げるだけで水が切れるからで、最初の水を捨てる動作だけを速くする形になっています。ここではまだ研がない、というのが動画の順番です。

握っては離す: 研ぐのはボールに戻してから。ざるの中で研ぐと米が割れやすい、金属より樹脂のほうが傷が付きにくい、水を張ったままだと汚れた水をまた吸う、と理由を並べます。動作は米どうしを軽くすり合わせる握っては離すを40〜50回、途中で天地を返す。100回まで研ぐと割れる、と線を引きます。

とぎ1回・水替え3回: 胚芽の取れたくぼみにぬか層の粉が溜まっていて、水を張ってかき混ぜるだけでは取れない。残したままだと、ぬかのにおいや、保温したときの黄ばみにつながる、と言います。回数はとぎ1回・水替え3回で、そこまでで濁りは収まる。これが動画の示す目安で、あとは浸水へ進みます。

割れた米の行方: 割れた米を炊くと、でんぷんが流れ出てべちゃついた炊き上がりになります。動画は、水が多いときの柔らかさとは別物のねっちゃりした柔らかさだと言い分けます。米粒が砕けた状態は水加減の失敗と取り違えられやすい、という指摘で、割れていなければ噛んだときに甘みが出る、と締めます。