俵に握る

握り方

俵に握るのは、飯を両手で挟んで転がし、両端が丸い円柱に整える形です。帯状に切った海苔を胴に一周巻き、弁当箱に向きをそろえて並べます。江戸の幕の内弁当では、白米を木型に詰めて押して俵形にしていたと、食文化史研究家の永山久夫は話しています。三角と比べて崩れにくさや乾き方を、同じ飯量で測った資料は見当たりません。形の順位は、高校生の回答を集めた調査(小田 2005)があります。

何が変わるか

両方の手のひらで挟んで転がし、円柱に整える形です。断面が丸いので、海苔を帯状に切って胴へ一周巻けます。表面に胡麻や粉をまぶすと全面へ均一に付き、弁当箱や折詰では向きをそろえて隙間なく並べられます。巻いた海苔の合わせ目を下にすると持ったときにほどけません。角が無いぶん、押しても欠ける場所がありません。江戸の幕の内弁当では、白米を木型に詰めて押して俵形にし、黒ごまを振っていたと食文化史研究家の永山久夫は説明しています。

分かっていること

永山久夫は、幕の内弁当は江戸後期に芝居の幕あいの弁当として広まったと説明し、俵形は三角より木箱に美しく入り、持ち運んでも崩れにくかったのだろうとも話します。関西では昔は俵形が主流で、三角形は1978年のセブン-イレブンの発売以降に定着したのではと、おにぎり協会の中村祐介は見ています。2001年の高校生1,386人の調査では、形は三角形70.8%、俵形11.7%、丸形10.4%の順でした(小田 2005)。

分かっていないこと

三角に握ると比べて表面積や崩れにくさがどう違うかを、同じ飯量にそろえて測った資料は見当たりません。転がす回数と握る強さの関係も数値になっておらず、締まりの境目は作り手の感覚に委ねられたままです。小さく作るほど単位重量あたりの表面は増えますが、乾き方は形の間でも、帯で巻いた胴と見えている両端の間でも測られていません。農研機構の向峯ら(2024)は成形機で飯の温度を振りましたが、形の比較は要旨にありません。

どう測れば分かるか

円柱は直径と長さから体積が出るので、飯100gあたりの表面積を形ごとに計算できます。硬さと付着性はテンシプレッサーで胴の中央と端に分けて取り、握った直後と2時間後で比べると、握る力による締まりか老化(β化)かを分けられます。海苔で覆った面と露出した面の重さを別々に追えば乾きの差も出ます。飯の温度もそろえます。向峯ら(農研機構、2024)の成形機の実験では、コシヒカリの飯が5〜45℃で冷たいほど、おにぎりが軽くなりました。

出典

  1. 資料 永山久夫(食文化史研究家)(2022) <食問>幕の内弁当のご飯 なぜ俵形?
  2. 資料 宇田川勝司(地理学研究者)と中村祐介(おにぎり協会代表)(2014) 関西の主流おにぎり 昔は俵型(謎解きクルーズ)
  3. 論文 小田きく子(昭和女子大)(2005) おにぎりに関する研究(第2報)
  4. 論文 向峯遼・岡留博司・奥西智哉(農研機構)(2024) 米飯の品温が物性ならびに機械成形特性に与える影響