握る強さ
握り方
握るときに押す力をどれだけかけるかという条件です。強いほど粒がつぶれて密になり、弱いほど崩れやすくなる向きは手順書のあいだで一致していますが、ふんわり握るという言い方が示す力を数字にした資料は見つかっていません。
何が変わるか
押す力の強さという条件で、飯粒のあいだに残る空隙の量がこれで変わります。強いほど粒がつぶれて密になり、弱いほど粒の形が残って崩れやすくなるという向きは手順書のあいだで一致していますが、力を数値で示した資料は見つかっていません。何回握るかという回数の作法も、同じ扱いになります。ふんわり握るという言い方は広く共有されていますが、その言い方自体が力の大きさを示していません。
分かっていること
粒をつぶさず、形が保てる最小限で止めるという言い方は、三角に握るでも俵に握るでも共通しています。三回、七回といった回数の作法も広く語られており、回数が増えれば手が触れている時間も長くなるため、力と時間が同時に動くことだけは構造として確かです。作法として語られているのは回数であって、力ではありません。同じ回数でも、押す強さが違えば結果は別のものになります。
分かっていないこと
握る力をニュートンで、手が触れている時間を秒で示した資料は見当たりません。手のひらのどこにどれだけかかるかという面内の分布も、回数と締まりの関係も、公表されている測定は確認できていません。塩の量のように重さへ換算できる条件と違い、比べる物差しが無いままです。強い、弱いという言葉が人によって同じ大きさを指しているのかも分かっていません。
どう測れば分かるか
薄型の圧力センサを手のひらに貼れば、力の大きさと接触時間と接触面積が同時に取れます。同じ人が弱、中、強で握ったものをテンシプレッサーにかけて硬さと付着性を並べれば、力と物性が結べます。握った直後と2時間後で測ると、締まりが力によるものか老化(β化)かを分けられます。握った回数もセンサの波形から数えられるので、力と回数を分けて記録できます。
解説動画: おにぎりの名店「ぼんご」の女将がクックパッドの取材に明かした究極の塩おにぎりの作り方。/情熱大陸 公式チャンネル
米は軽く洗う: 動画はまず、米はどこのものでもよく、粒が大きく見えるものを選んでいると述べます。洗い方はゴシゴシとやらず、本当に軽く2〜3回。必要以上にいじらない、こねないという言い方で、洗う工程はそこで終わります。米を選び直す話にはせず、このあとの時間のほうに重心を置いた組み立てです。
浸水が絶対条件: 次に来るのが浸水で、2時間を絶対条件、ここが一番大事と言い切ります。店はガス炊飯器なので15分で炊けるとも述べ、火力の話と浸す時間の話を分けています。設備は真似できなくても浸す時間なら同じにできる、という置き方で、道具ではなく時間のほうに重みを渡しているのが、この店の作り方の骨になっています。
握る前の温度: おにぎりにする飯は、いつもの加減より水を少なめにして炊くと述べます。握るときの温度を聞かれると、聞き手が挙げた90℃や80℃ではなく75℃ぐらいだと答え、それより熱いとべたつきが出ると続けます。おにぎりは熱いうちに握るという言い方だけでは決まらない部分が、ここで温度になっています。
握らずねじる: 握り方そのものは短く、飯を茶碗に受けてから、空気を含ませたまま、ねじるだけだと見せます。グッと力を入れて握らない、それでも崩れないと述べ、取材した側は、世の中はぎゅっと握っている人が多いはずだと驚いています。示されるのは動きの形であって、力の大きさではありません。
力は数字にならない: 動画に残るのは、握らない・ねじる・空気を残すという動きの言葉だけで、どれだけの力で押したかは最後まで出てきません。何秒手が触れていたかも同じです。ふんわり握るという広く共有された言い方が、人によって同じ大きさを指しているのかどうかも、ここからは読み取れません。