タネツケバナ
春に出る草
触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 春(3〜5月)
触れると実がはじけて種を飛ばします。細長い実が上を向いて並んだ株に指を近づけたときの、その反応がこの草の合図です。
ここだけ見る(決め手)
決め手は実のはじけ方です。茎に沿って上向きに立つ細長い実は、熟すと果皮が下から一気に巻き上がって、触れただけで種を飛ばします。白い4弁の花は直径3mm前後と小さく、同じアブラナ科のナズナと紛れますが、実が三角ではなく棒状です。葉は羽のように裂けた小葉が対に並びます。学名は YList(米倉と梶田のオンライン版)で Cardamine occulta が当てられています。
いつ、どこに出るか
花期は2月の終わりから5月で、盛りは春です。名は苗代の種もみを水に浸ける頃に咲くことに由来し、田に水が入る前の湿った土と縁が深い草です。あぜ、水路の縁、鉢の土、雨どいの下のような湿り気の残る場所に出て、鉢の土ではスズメノカタビラと一緒に芽を出します。乾いた舗装の割れ目では小さいまま終わり、株の高さは5cmから30cmまで場所で変わります。
よく似た草との違い
相手になるのは、都市部で数を増やしたミチタネツケバナです。見るのは茎に付く葉の数と毛で、向こうは茎の葉が少なく、花の時期にも根生葉がそろって残り、葉の縁に白い毛が目立ちます。こちらは茎に葉が何枚も付き、根生葉は花の頃から枯れ始めます。地面の葉が輪のまま残っていればミチタネツケバナで、ハンドルーペで葉の縁の毛を見れば裏が取れます。
触れたらどうなるか
葉にも茎にも刺す毛はなく、切り口から白い汁が出ることもありません。かぶれの報告も見当たらず、特に知られた刺激はない側にとどまります。触れて起きるのは熟した実がはじけ、種が手や服に付くことのほうです。飛ばさずに中身を見たいときは、実の側面からLEDハンディライトを当てると種の並びが透けます。花のあとの茎も柔らかく、折れても手は汚れません。
増え方
種でふえます。熟した実がばねのように巻き上がって種をはじき、株から離れた場所へ落とします。種は水に濡れると粘る膜をつくり、靴底や長靴、鉢の土に付いて運ばれます。発芽から開花までが短く、条件がそろえば一年のうちに世代が入れ替わります。服に付いた種は衣類用の粘着クリーナーで落とせるので、庭へ持ち込む前に払います。