ホトケノザ
春に出る草
触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 春(3〜5月)
名前の取り違えが多い草です。春の七草のホトケノザは別の植物で、この紅紫の花をつけるシソ科の草とは科から違います。
ここだけ見る(決め手)
見るのは上のほうの葉の付き方です。茎の上部では柄のない葉が対になって茎をぐるりと抱き、皿のような段をつくります。その皿の上から細い筒状の紅紫の花が数個立ち、花序は葉のわきに集まる形です。花は長さ2cm前後で、筒の部分が半分以上を占め、下唇には濃い斑が入ります。葉が段になって重なる姿からサンガイグサの名も生まれました。学名は YList で Lamium amplexicaule、シソ科です。
いつ、どこに出るか
秋に芽生えて冬を越し、暖かい年は真冬から花が開きます。盛りは3〜5月で、日当たりのよい畑のあぜ、空き地、街路樹の根元に群れて広がります。ヒメオドリコソウと混じることが多く、斜面一面が紅紫に見えるのもこの時期です。踏まれ続ける通路の中央には出にくく、少し外れた土の柔らかい縁に帯をつくります。夏には地上部が消え、秋にまた同じ帯へ戻ります。
よく似た草との違い
はじめに名前です。「春の七草のホトケノザ」はこの草ではなく、キク科のコオニタビラコを指します。ここで扱う紅紫の花の草はシソ科で、七草の話と結び付けると科ごと取り違えます。姿が近いのはヒメオドリコソウで、見分けは上部の葉が茎を直に抱くかどうかにあります。こちらは葉が柄なしで茎を包み、向こうは短い柄で葉をぶら下げます。花の筒もこちらのほうが細く長く、横から見ると差が出ます。
触れたらどうなるか
花にも葉にも、指を刺す毛は付きません。茎を折っても白い汁はにじまず、シソ科にありがちな強い香りも立ちません。刺激の報告が知られていない草なので、扱いは特に知られた刺激はないのままです。茎の断面が四角いことは、指でつまむよりクリップ式マクロレンズで切り口を写して見るほうが確かです。花が落ちたあとのがくの先はとがります。
増え方
種でふえ、開かないまま実る花も持ちます。目立つ紅紫の花のほかに開かずに自分の花粉で実る閉鎖花をつけるため、天気の悪い春でも種が残ります。実は4つに分かれた分果で、こぼれた種にはアリの好む付属体が付き、スミレと同じように巣へ運ばれる途中で散らばります。秋に発芽して春に種を落とすので、毎年ほぼ同じ帯に戻ってきます。