ヒメオドリコソウ
春に出る草
触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 春(3〜5月)
上へいくほど葉が赤紫に染まります。瓦を重ねたように葉が段を成し、その隙間から小さな紅紫の花がのぞくのがこの草です。
ここだけ見る(決め手)
色が付いているのは花より葉です。上の葉ほど赤紫を帯び、瓦のように重なって塔をつくり、その間から長さ1cmほどの唇形の花が横向きに並びます。葉は節ごとに向かい合う葉序で、株の高さは花の時期で10〜25cm、茎の断面は四角く、指で転がすと角が当たります。花より先に葉の色が目に入るので、遠くからでも見当が付きます。ヨーロッパ原産の帰化植物で、学名は YList で Lamium purpureum です。
いつ、どこに出るか
2月の終わりから咲き始め、3〜5月が盛りです。生えるのは日の差す造成地、家庭菜園の畝の間、公園の植え込みの縁で、赤紫の帯をつくって広がります。ホトケノザと場所が重なるため、二種が入り交じった土手は遠目に同じ色に見えます。夏には枯れて跡形もなくなり、秋に芽生え直して冬をロゼットで越します。年による前後は1か月ほどあり、暖冬の年は1月から花が見つかります。
よく似た草との違い
近いのはホトケノザで、上の葉の付き方で分かれます。こちらの葉は短い柄でぶら下がり、向こうの葉は柄なしで茎を丸く抱きます。もう一つは在来で大型のオドリコソウで、高さ30〜50cmと背が高く、白か淡紅色の花が茎を取り巻いて輪になり、葉は赤紫に染まりません。小型で葉の先が色づくならこちら、背が高く花が白ければオドリコソウです。
触れたらどうなるか
葉の表と茎の稜には短い毛が立ちますが、皮膚を刺す毛ではなく、汁も刺激になりません。皮膚炎を起こした例は知られておらず、特に知られた刺激はない段の草です。ただし群れる場所は犬の散歩道と重なりますから、葉を裏返して毛の向きを見たら、携帯用の紙石けんで手を洗ってから先へ進みます。花の中をのぞいたときも同じです。
増え方
種でふえます。花のあとにできた分果がこぼれ、種は夏を土の中で過ごして、秋に一斉に芽生えて冬をロゼットで越します。種のアリを呼ぶ付属体が働き、巣へ持ち帰られる道すがら方々に落ちます。ヨーロッパ原産の外来の草ですが、環境省の生態系被害防止外来種リスト(2015年3月)には載らず、特定外来生物の運搬の対象でもありません。耕された畑や造成地では一年で一面を覆います。