つまずき図鑑

L と R の混同(子音の混同)

L と R の混同は、rightがlightに、riceがliceに聞こえる、日本語話者の代名詞のような課題です。日本語のラ行は舌先で上あごを一瞬弾く音で、英語のl(付けたまま)ともr(どこにも付けない)とも違う第三の音だからです。Iversonらの2003年の実験では…

B と V の混同(子音の混同)

B と V の混同は、veryがberryに、voteがboatに聞こえる、日本語には/v/が無いためバ行で代用してしまう課題です。/b/は唇と唇、/v/は上の歯と下唇という、接触する場所そのものが違います。愛知大学のIsonoの調査では、英語専攻の大学生52人の聞き分けで/b/は約9割、/v/は約5割の正答で…

S と TH の混同(子音の混同)

S と TH の混同は、thinkがsinkに、thankがsankに聞こえる、/θ/が日本語に無いためいちばん近い/s/で代用される課題です。/s/は舌先を歯ぐきに近づける音、/θ/は舌先を上下の歯で挟む音で、位置が数ミリ違うだけで別の語になります。愛知大学のIsonoの調査では、語頭で/s/は約82%…

/æ/ と /ʌ/ の混同(母音の混同)

/æ/ と /ʌ/ の混同は、catとcut、matchとmuch、badとbudがすべて同じ「ア」になる課題です。日本語の母音は5つしかなく、英語の複数の音が「ア」1つに吸収されるためで、Strangeらの2001年の実験では、日本語話者24人が/æ/を同じ日本語の音にまとめる一貫性は32%と…

/ɪ/ と /iː/ の混同(母音の混同)

/ɪ/ と /iː/ の混同は、shipとsheep、liveとleave、fitとfeetが区別できない課題で、「短いイ」「長いイ」と教わりますが実際の違いは長さより口の緊張です。長く伸ばしただけでは/iː/になりません。Yazawaらの2019年の研究では…

母音の挿入(カタカナ発音)(カタカナ発音(母音の挿入))

母音の挿入(カタカナ発音)は、strike(1音節)が「ス・ト・ラ・イ・ク」(5音節)になるように、日本語の子音の後ろに必ず母音が付く構造のせいで、無意識に余分な母音を足してしまう課題です。Dupouxらの1999年の実験では、母音の無いebzoという語にも日本語話者だけが「u」があると答えたと報告されています。…

強勢の位置のずれ(強勢とリズム)

強勢の位置のずれは、hotelを「ホテル」、chocolateを「チョコレート」と強く読む場所を間違え、音は合っているのに通じなくなる課題です。東京方言でアクセントのある外来語は後ろから3つ目のモーラに付く型が最も多く、英語の強勢とは別の規則で位置が決まるためで…

拍のリズムで話してしまう(強勢とリズム)

拍のリズムで話してしまうのは、How do you like your coffee?を1語ずつ同じ強さで並べてしまい、文全体が平坦な「日本語英語」に聞こえる課題です。日本語は拍(モーラ)を単位に数え、長音や「ん」「っ」も1拍分の長さを持ちますが、英語は強い音節が目立ち弱い音節が縮む言語なので…

つづりの誤読(つづりの誤読)

つづりの誤読は、islandを「アイスランド」、Wednesdayを「ウェドネスデイ」と文字を1つずつローマ字的に音に変えてしまう誤りです。英語のつづりは発音の記録であると同時に語源の記録でもあり、islandのsは語源を示すために後から足された文字で、もともと発音されていません。knifeのk…

/f/ と /h/ の混同(子音の混同)

/f/ と /h/ の混同は、fineがhineに近い音になる課題で、日本語のは行で唇を使うのは「ふ」だけなので、他の母音が続く語ではfが気づかないうちにhに寄ってしまいます。は・ひ・へ・ほは喉から出す/h/で唇はほとんど動かず、英語の/f/は母音に関係なく上の歯を下唇に当てる音なので…

/s/ と /ʃ/ の混同(子音の混同)

/s/ と /ʃ/ の混同は、sipがshipに、seatがsheetに近づいて聞こえる課題で、日本語で歯茎の後ろを狭めて出す音は「し」のときだけだからです。さ・す・せ・そは舌先を歯茎に近づける/s/で、英語の/ʃ/はどの母音の前にも現れるため、し以外の場面では作り方そのものを知らずに/s/で代用してしまいます。…

/ɑ/ と /ɔ/ の混同(母音の混同)

/ɑ/ と /ɔ/ の混同は、cotとcaught、notとnaughtが同じ「オ」に聞こえてしまう課題です。日本語の母音「オ」は1つですが、英語にはあごをあまり開けない/ɑ/と唇をわずかに丸めて突き出す/ɔ/の2種類があります。イギリス英語(RP)ではこの2つをはっきり区別しますが…

/ʊ/ と /uː/ の混同(母音の混同)

/ʊ/ と /uː/ の混同は、fullがfoolに、pullがpoolに聞こえてしまう課題です。日本語の「ウ」は唇をあまり丸めず力を抜いて出す音で/ʊ/に近いのですが、/uː/は唇を強くすぼめて前に突き出すまったく別の口の形が必要で、長さだけを変えても唇の形が同じままでは書き分けられません。…

二重母音を2拍に分けてしまう(カタカナ発音(母音の挿入))

二重母音を2拍に分けてしまうのは、dayが「デ・イ」、timeが「タ・イ・ム」のように、1つの音の中で2拍に割れて間延びして聞こえる課題です。英語の二重母音/eɪ//oʊ/は1つの母音の中で形がなめらかに変化するだけの1拍の音ですが、対応するカタカナが「エイ」「オウ」と2文字で書かれるため…

r を巻き舌にしてしまう(カタカナ発音(母音の挿入))

rを巻き舌にしてしまうのは、「英語のrは特別な音」という思い込みから、red や right の語頭で舌先が上あごに触れて弾かれ、別の言語の巻き舌rのような音になる誤りです。実際の/r/はどこにも触れさせず、そり気味に浮かせて保つ近似音で、舌が震えることはありません。…

機能語を強く読んでしまう(強勢とリズム)

機能語を強く読んでしまうのは、I have to go to the bank.のような文でtoやtheまで名詞や動詞と同じ強さで読み、文全体がのっぺり平坦に聞こえる課題です。英語では意味の中心を担う名詞・動詞・形容詞だけが強く読まれ、冠詞・前置詞・代名詞・助動詞のような機能語は弱く縮めて読まれますが…

複合語の強勢位置(強勢とリズム)

複合語の強勢位置は、greenhouse(温室)をgreen house(緑色の家)と同じ強さで読んでしまい、2語の強弱だけで意味が変わっていることに気づかない課題です。英語では2つの語が合わさった複合語は前を強く読む規則があり、形容詞+名詞のただの語句は後ろの名詞のほうを強く読むのが基本ですが…

c と g を1通りの音でしか読まない(つづりの誤読)

c と g を1通りの音でしか読まないのは、cityを「キティ」のように/k/で読んでしまうなど、c も g も1文字1音だと思い込んで起きる誤読です。cは後ろに続く文字によって/k/にも/s/にもなり、e・i・yの前では/s/になります(city, cent, cycle)。…