S と TH の混同
子音の混同
S と TH の混同は、thinkがsinkに、thankがsankに聞こえる、/θ/が日本語に無いためいちばん近い/s/で代用される課題です。/s/は舌先を歯ぐきに近づける音、/θ/は舌先を上下の歯で挟む音で、位置が数ミリ違うだけで別の語になります。愛知大学のIsonoの調査では、語頭で/s/は約82%、/θ/は約64%の正答でした。
どうなりがち?
think が sink に、thank が sank に、mouth が mouse に聞こえます。聞き取りでも同じ混同が起こり、愛知大学の紀要に載った Isono の調査では、英語専攻の大学生52人が語の中の子音を選ぶ課題で、語頭では /s/ が約82%、/θ/ は約64%の正答でした。語末になると差は縮み、/θ/ も約74%まで正答率が上がっています。
なぜ起きる
/θ/ は日本語に無いので、いちばん近い /s/ で代用されます。愛知大学の紀要に載った Isono は、日本語の /s/ が英語の /s/ と /θ/ の両方に使われやすいと述べています。/s/ は舌先を歯ぐきに近づける音、/θ/ は舌先を上下の歯で挟む音で、位置が数ミリ違うだけで別の語になります。同じ代用はドイツ語話者にも起こると Hanulíková と Weber(2012)は報告しています。
直し方
舌先を上下の歯で軽く挟んで、そこから息を出す。強く噛む必要はありません。鏡を見て舌先が見えているかどうかが、そのまま合否の判定になります。英語学習チャンネル EnglishLessons4U の Ronnie は、のどに手を当てて震えないことを確かめてから、舌を出す /θ/ と舌を出さない /s/ を言い比べる練習を勧めています。
練習語
think / sink / thank / sank / mouth / mouse / path / pass / three, both, math
出典
- 論文・英語 Isono T(愛知大学『言語と文化』42号) A Study of Japanese Learners’ Perceptual Identification of English Fricatives
- 論文・英語 Hanulíková A, Weber A(2012) Sink positive: Linguistic experience with th substitutions influences nonnative word recognition
- 動画・英語 English with Ronnie(EnglishLessons4U with engVid) English Pronunciation - Th & S
解説動画: 舌を出すTHと、歯ぐきに近づけるSの違い/Hapa 英会話
S は舌を口の中に置く: s は日本語にもある音なので、日本語話者には出しやすいとし、アメリカ英語での作り方を実演する。舌先を、上の前歯の裏にある少し盛り上がったところへ近づける。ただし、そこに触れさせてはいけない—— s は空気の音で、息が流れ続ける必要があるため。歯はほとんど閉じ、口角を横に引いた微笑む形にして、唇は丸めない。
TH は舌が歯から出る: th は舌が実際に口から出る音。上下の歯の間に舌先を挟み、歯の外側へほんの少しだけ出す。出しすぎる必要はない。舌先が歯から少し出てさえいれば、th の音はかなり自動的に出ると説明していて、確認すべき点はそこだけという整理になっている。
TH には2種類ある: 息だけの無声音と、声を出す有声音の2つがあり、作り方はどちらも同じ。有声のほうは声帯を鳴らし、舌先の振動を感じられるかで確かめる。無声音は自分で聞き取れないほど静かでも構わない。語頭の this や that、語中の mother や together は有声になることが多い。ただし有声か無声かに厳密なルールは無く、語末はややこしくなるので、迷ったら両方言って自然なほうを選ぶよう勧めている。
日本語話者がやりがちなこと: 有声の th が d や z に化けてしまうのがよくある形。「マザー」の「ザ」で出している間、舌は確実に口の中に入っている。カタカナに置き換えた時点で別の音になるので、th を出すときは舌が口から出ているかを毎回意識して確かめる必要がある、としている。