泥のにごり
色とにごり
泥のにごりは、溶けていない粒の濁りです。粘土などの細かい粒が舞っている状態で、静かに置くと底に沈み、上澄みは澄んでいきます。
どう見えるか・どう感じるか
灰色や褐色に濁り、湯を揺らすと舞い上がって、静かにしていると底にたまります。すくった手にざらつきが残ることもあります。指針5-1は清濁の程度のほかに沈析物の有無や形状も記録させるので、この型の濁りは清濁と沈析物の両方の欄に現れることになります。人が入るたびに濁り、静まると上澄みから澄んでいくので、混み合う時間と静かな時間では同じ湯船が別の見え方をします。
何がそうさせているか
粘土鉱物や岩片の粒が水に浮いているだけで、溶けているわけではありません。指針7-1は、蒸発残留物を懸濁物と溶解性蒸発残留物の和として説明し、粘土等の懸濁物があるときは孔径1µmのろ過材で処理してから溶解性蒸発残留物を求めると定めています。浮いている粒は溶けた成分として数えないので、溶存物質計の数字に、この濁りの濃さは映りません。
出やすい泉質
泉質を選びません。熱水で岩が変わってできた粘土の中を通る湯(温泉余土)や、掘ったばかりの井戸から汲む湯で出ます。掘削に使った泥剤が残る場合について指針は、「洗浄不十分なので,十分揚湯を行い,濁りが取れてから再分析をすることが望ましい。」と結果報告書に記載するよう求めています。汲み方や工事のあとかどうかで変わるため、泉質名の欄からは予測できない濁りになります。
時間と空気でどう変わるか
静置すれば沈み、動かせば戻る、という往復です。指針は懸濁物を含む試料について、ラジウム塩の試料調製では現地でろ紙5種Aによりろ過すると定めるなど、測る前に粒を外す手順を各所に置いています。空気酸化で粒が育つ乳白色のにごりとは、時間との関わり方が違います。時間がたてば消えるという向きではなく、浴槽の換水や底の掃除で外されるまで、同じ粒が沈んでは舞い上がります。
どこまで確かめられているか
分けられているのは、分析の手順の側です。懸濁したものと溶けているものを別に扱う書き方が指針にあり、蒸発残留物の欄はろ過の有無で意味が変わります。ただし粒が何かは現地では分からず、色や量から成分を読むこともできません。硫黄のコロイドとの区別は、沈むかどうかが手がかりになります。桶に汲んで置けば粘土は底に集まり、白い曇りのまま残るなら粒の側が違います。