無色澄明
色とにごり
無色澄明は、見た目を記録した言葉です。分析書の知覚的試験の欄に並ぶ語で、溶けている量の多い少ないを言っているのではありません。
どう見えるか・どう感じるか
分析書の知覚的試験の欄で、いちばん多く並ぶ言い方です。鉱泉分析法指針(平成26年改訂)5-1は、試料50mLを無色平底の比色管にとり、白紙または黒紙の上に置いて上から透かして見る手順を示します。そこで見るのは着色の程度と色調、それに清濁の程度で、色調が無色、清濁が澄明と記された湯がこの言い方になります。
何がそうさせているか
溶けているものの多くが、可視の光をほとんど吸わないためです。ナトリウムイオンや塩化物イオンには色がなく、光を散らす粒も浮いていなければ、湯は向こうまで見通せます。色がつくのは光を吸う成分が入ったときで、濁るのは光を散らす粒ができたときです。指針5-1が色調と清濁を別々に記録させるのは、この二つが別の出来事だからです。
出やすい泉質
泉質名からは色が決まりません。単純温泉でも塩化物泉でも無色澄明は現れ、鉄・よう素・硫黄のように色や濁りのもとになる成分を欠くときに残る見た目だからです。含鉄泉と掲示された湯でも湧出地の欄では澄んでいることがあり、色は泉質名の側からではなく、成分の量と採取からの経過時間の側から読む欄になります。
時間と空気でどう変わるか
指針の第7章の冒頭は、色および濁り、臭気等が時間とともに変化する場合があるとして、採取からの経過時間を記録し分析書に記載するよう定めています。指針の分析書記載例でも、湧出地で「ほとんど無色澄明」だった湯が、試験室では「淡黄褐色澄明」に変わった例が載っています。よう素の黄ばみは、その代表です。
どこまで確かめられているか
確かめられているのは、記録の仕方までです。5-1は透視による目視の観察で、着色の程度を「微弱,弱,強等」と書き分ける言い方を示すにとどまり、数値での測定は求めていません。色度や濁度を機器で測って成分と結びつけた研究は黒褐色の湯のような着色の強い湯で進んでおり、無色の側の記録は語のまま残されています。