よう素の黄ばみ

色とにごり

よう素の黄ばみは、置いた時間が作る色です。汲みたてはほとんど無色でも、空気に触れた時間の分だけ、湯は黄褐色の側へ寄っていきます。

どう見えるか・どう感じるか

淡い黄褐色で、澄明のまま色だけが乗ります。濁らないので底まで見通せ、赤褐色のにごりのように沈析物が出ることもありません。塩気の強い湯であることが多く、指針の分析書記載例でも、色の記述に「強塩味でよう素臭を有する」という臭味の記述が並んでいます。澄んだまま色だけが乗る点は黒褐色の湯と同じで、色の濃さより、塩味と乾いたにおいの側が見分けの手がかりになります。

何がそうさせているか

よう化物イオンが酸化されて、よう素の姿に変わるためです。指針7-24のよう化物イオンの定性・定量は、亜硝酸ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウムでよう化物イオンを酸化してよう素に変える操作で組まれていて、この形が水の中で黄褐色に見えます。容器でも浴槽でも、同じ向きの変化が進みます。同じ反応を鼻で受け取ったものがよう素臭で、目と鼻は一つの変化を別々に見ていることになります。

出やすい泉質

含よう素泉です。療養泉の限界値はよう化物イオン10mg/kgで(指針第1-3表)、掲示では含よう素-ナトリウム-塩化物泉のように泉質名の頭書きとして付きます。海水が地層に閉じ込められてできたかん水に多く、塩化物イオンの多い湯と重なります。掲示の頭書きが無ければ、よう化物イオンは限界値に届いていません。数値そのものは成分の欄に並ぶので、色を疑ったときはそこを見ます。

時間と空気でどう変わるか

指針の分析書記載例が、そのまま時間の記録になっています。湧出地で「ほとんど無色澄明, 強塩味で硫化水素臭を有する」と書かれた湯が、試験室では「淡黄褐色澄明であり,強塩味でよう素臭を有する(試料採取後24時間)」に変わっています。24時間という但し書きが、この色の主語です。色だけでなく臭いの語も硫化水素臭からよう素臭へ入れ替わっていて、一つの試料で目と鼻の記録が同時に動いたことが読めます。

どこまで確かめられているか

指針が示すのは、色が変わった事実と経過時間を併記せよという記録の作法までです。色の濃さとよう化物イオンの量を結ぶ目盛りは置かれていません。掲示に載るのは湧出地と採水地の欄が指す場所で採った湯の値なので、浴槽の色との差は、測ってからの時間の分として読みます。その値がいつ測られたかは分析終了年月日の欄にあり、十年ごとの再分析で書き改められる数字です。