青みを帯びた湯
色とにごり
青は、粒が光を散らして生まれます。水そのものの色ではなく、湯に浮いた細かい粒が短い波長を強く散らすため、深いところほど青が濃く見えます。
どう見えるか・どう感じるか
湯船に張った湯が、乳青色や淡い青みを帯びて見えます。手のひらにすくうと色は消え、湯そのものは透明に見えます。目に届く青は、光が湯の中を通った距離のぶんだけ積み上がった散乱光だからで、数十cmの深さの湯船と数cmの手のひらでは、同じ湯でも見え方が変わります。底が消えるほどではなく、底の形が透けたまま青いのがこの状態で、白く曇って底が見えなければ乳白色のにごりの側です。
何がそうさせているか
細かい粒によるレイリー散乱です。粒が光の波長より小さいとき、短い波長ほど強く散らされ、横から見た湯は青みを帯びます。高松らは緑色の湯の呈色を調べた研究で、コロイド粒子の散乱による青とポリスルフィドイオンの黄色の重なりとして色を説明しています(温泉科学60巻 119-133、2010)。
出やすい泉質
硫黄泉で目にすることが多く、硫黄の粒ができる湯で青みが出ます。カルシウムを多く含む炭酸水素塩泉でも、炭酸カルシウムの微粒子が同じはたらきをすることがあります。粒ができるかどうかで決まるので、泉質名が同じでも青く見える湯とそうでない湯が並び、青の濃さから成分の量は読めません。掲示で当たりを付けるなら、泉質名より総硫黄の欄と、カルシウムおよび炭酸水素イオンの欄を並べて読むことになります。
時間と空気でどう変わるか
粒が増えるにつれて青は濃くなり、さらに増えると散乱が広い波長に及んで乳白色のにごりへ移ります。粒が大きくなって沈めば、青は抜けて澄みます。行き先が一つに決まらないので、同じ源泉でも日によって見え方が動き、指針は知覚的試験に採取からの経過時間を併記させています。かけ流し式浴槽のように湯が入れ替わる浴槽では薄い側にとどまり、たまったままの湯では粒が育つぶん先へ進みます。
どこまで確かめられているか
散乱で青くなるという筋道は、再現実験と吸収スペクトルの測定で支えられています(高松ら 2010)。ただしその研究が扱ったのは限られた湯で、目の前の青がどの粒によるものかは、その湯を測らないと分かりません。厚い水そのものが赤い波長を吸って青く見える現象は、これとは別の理屈です。分析書に残るのは色調の語と、着色の程度を微弱・弱・強と書き分けた記述までで、青の濃さを数値にした欄はありません。