緑色の湯
色とにごり
緑は、黄色と青が重なった色です。溶けた成分が出す黄色と、粒が光を散らして生む青が同じ湯に共存すると、目には緑として届きます。
どう見えるか・どう感じるか
エメラルドや若草に近い緑に見え、深いところほど濃くなります。同じ湯でも白い湯船と黒い石の湯船では見え方が変わり、底からの反射が加わると緑は濃く映ります。指針5-1が色調と清濁を分けて記録させるように、緑の湯では色のもとと濁りのもとが同時にはたらいています。浅い足元では淡く、深い中ほどでは濃いという濃淡が一つの湯船に同時に出るので、濃さを比べるなら同じ深さで見比べます。
何がそうさせているか
高松らは、中性域で硫黄と硫化水素から生じるポリスルフィドイオンの黄色と、コロイド粒子の散乱による青が重なって緑になると述べています(温泉科学60巻 119-133、2010)。この研究はESI-MSでポリスルフィドイオンを捉え、吸収スペクトルと再現実験で色の由来をたどっています。
出やすい泉質
硫黄泉と、泉質名の頭に硫黄が付く湯が中心です。ポリスルフィドイオンは中性付近で生じるとされ、緑の湯もその液性のものが多く見られます。旧泉質名の緑礬泉は名前に緑が入りますが由来は鉄で、指針は陰イオンの主成分を区別する場合に単純鉄温泉へ硫酸鉄型と付記してよいとしています。掲示で当たりを付ける先は、総硫黄の量と浸透圧・液性・泉温の併記に載る液性の語の二つです。
時間と空気でどう変わるか
空気に触れて硫黄が酸化され、硫酸イオンへ進むと黄色が抜けます。残った粒だけがはたらくようになると色は青みを帯びた湯の側へ寄り、粒がさらに増えれば乳白色のにごりになります。緑は途中の姿なので、湧出地と浴槽、朝と夕方で見え方が変わります。同じ日の同じ浴槽でも、湯口の口元では緑が濃く、離れた縁では青みや白さの側へ寄っていることがあります。
どこまで確かめられているか
呈色の筋道は高松ら 2010 の一本で、湯の色を実験室で組み立て直すところまで進んでいます。一方、藻類が増えて緑に見える場合は成分の話ではなく、浴槽水の水質基準や浴槽の換水の側の話になります。腐植質の黄褐色に青が重なった緑もあり、色だけでは出どころを決められません。腐植質の側かどうかは、黒褐色の湯と同じく手のひらにすくって黄褐色が残るかが当たりになります。