フミン酸を含む湯
火山ではない湯
湯の色は、地層に埋もれた植物から来ています。平野の堆積層に含まれる腐植物質が地下水に溶け、茶褐色の湯になります。
どうして湯が湧くか
地下に埋もれた植物起源の腐植物質が、地下水に溶け込んだ湯です。亜炭や泥炭をはさむ地層を水が通ると、フミン酸やフルボ酸が水の側へ移ります。神奈川県温泉地学研究所は、京浜・湘南地域にフミン酸を含む茶褐色の地下水が広く分布し、重曹型の水質を示すと報告しています。水の出どころは雨や雪で、深層地下水型温泉と同じ側に属します。
地下で何が起きているか
有機物が分解されるときに出る二酸化炭素が、水の性格を決めています。それが炭酸水素イオンに変わり、地層の鉱物からナトリウムを受け取って重曹型に寄ります。温まる仕組みは地温勾配のとおりで、火山の熱は関わりません。別府温泉地球博物館も、陸水起源の深層熱水が着色物質を含む場合があると書いています。
出てくる湯の成分の傾向
掲示では炭酸水素塩泉、なかでもナトリウムを主とする型に落ち着くものが多くなります。腐植物質は大きさのそろわない有機物の集まりで、一つの化合物ではありません。色の濃さは溶けている無機成分の総量とは別の話で、無機の成分だけを見れば平野のほかの地下水と変わらないものもあります。色と手ざわりの見え方は黒褐色の湯と泥炭臭の担当になります。
地上での見え方
平野の掘削泉として上がるので、地上に湧きあとは残りません。俗に「モール泉」と呼ばれますが、これは掲示用の泉質名ではありません。壁に出るのは温泉の成分等の掲示が定めた泉質名のほうで、色の由来までは書かれません。浴槽の縁に色が移ることはあっても、地形として積もるものはありません。分布は亜炭を掘った土地と重なり、湯の在りかは地質図の側から追えます。