有馬型深部流体

火山ではない湯

火山がないのに、海水より濃い湯が高温で湧く型です。沈み込む海洋プレートから絞り出された水が、断層をつたって上がってきたものと考えられています。

どうして湯が湧くか

熱の出どころが、マグマだまりではなく沈み込む板の側にあります。海洋プレートが地下深くへ沈むとき、含水鉱物から水が絞り出され、その水が断層のような通り道を選んで上がってきます。産業技術総合研究所の深部流体研究はこの水を深部流体と呼び、ヘリウム同位体比がマントルの値に近いことを、深いところから来た裏づけのひとつに挙げています。

地下で何が起きているか

上がってくる途中も、二酸化炭素を多く伴ったままです。通り道は面ではなく線で、割れ目系循環型温泉と同じように断層が水の道になります。分布が中央構造線に沿って偏るのはそのためで、火山の並びとは重なりません。途中でどれだけ浅い地下水と混ざるかによって地表に届く濃さは変わり、同じ断層帯でも湧出地ごとに塩分が違います。深いところの圧力が抜けるにつれ、溶けていた炭酸カルシウムは固まりはじめます。

出てくる湯の成分の傾向

塩化物イオンが多く、塩分が海水を超えるものがあります。掲示は高張性の側に付き、ホウ素とリチウムが目立って多いことも型の目印になります。ただし大沢ら 2015(温泉科学64)は、水質がよく似ていても同位体では別の水だった例を報告していて、水質だけで深部流体と決めつけることはできません。

地上での見え方

火山が見えないまま、高い泉温の源泉が現れます。地表に噴気らしい景色は伴わないので、火山の湯と見分ける手がかりは風景ではなく分析書の側にあります。名前に地名が入るのは型の呼び名としてのことで、特定の土地の湯を指す言葉ではありません。湧出口には石灰華が育ち、鉄を含むものは鉄の赤い付着として浴槽の側でも見えます。二酸化炭素が抜けるほど、その付着は厚くなります。