かん水
火山ではない湯
ガスを汲むための井戸から、湯が一緒に上がってきます。水溶性天然ガス田の地下水は塩分が濃く、温泉として使われることがあります。
どうして湯が湧くか
地層に閉じ込められた塩分の濃い地下水を、水溶性天然ガス田から汲み上げたものです。目的はまず水に溶けたメタンで、ガスと水は同じ井戸から一緒に上がってきます。村松 2018(温泉科学68)は、南関東・長万部・象潟・新潟・日南宮崎などのかん水と塩化物泉に、共通の水質形成機構が成り立つとしています。汲んだ水が要件を満たせば温泉法上の温泉として扱われます。
地下で何が起きているか
深い層は圧力が高く、メタンが水に溶けたまま保たれています。汲み上げて圧が下がると気体に戻り、井戸口で湯とガスが分かれます。水そのものの成り立ちは化石海水型温泉と同じで、閉じ込められたあとの反応が組成を作り替えている点も変わりません。分かれ目は水の出どころではなく、ガス田として汲まれるという姿のほうにあります。
出てくる湯の成分の傾向
塩化物イオンとナトリウムが主で、よう素が海水よりはるかに濃いのが目立ちます。量が届けば掲示に含よう素泉が加わり、空気に触れて色づくところはよう素の黄ばみとして見えます。よう素は工業の原料として回収される成分でもあり、湯に使われる水はその回収と同じ井戸から上がってきます。アンモニウムイオンや臭素も多く、有機物を伴うものでは石油臭を帯びます。
地上での見え方
平野の大深度の掘削でしか届かないので、地表に手がかりはありません。井戸のそばにはガスを分ける設備が置かれ、分離が済んでから湯は動力揚湯で送られます。可燃性の天然ガスを伴うため、井戸まわりの扱いは温泉というより資源の設備に近く、掘る目的もまずガスの側にあります。湯船に届くころには、ガスはほとんど抜けています。